研究課題
●近年の泌尿器癌(特に前立腺癌や腎細胞癌)の増加は著しいが、原因として高カロリー・高脂肪食の影響が示唆されている。私どもは、実験動物、細胞生物学、分子疫学、臨床検体を用いた解析により、高カロリー・高脂肪食による泌尿器癌進展の分子機構に関する研究を進めてきた。本研究では、さらに近年のメタボロミクスの包括的解析手法の発展を生かして、肥満に伴う泌尿器癌申請の分子機構を多方面から解明、標的分子を同定し、治療や予防への可能性を検討した。さらには、分子疫学的手法や臨床検体によって候補遺伝子の遺伝子多型・泌尿器癌進展や生活習慣との背景を検証した。●先ず、生体内で豊富に飽和脂肪酸であるパルミチン酸(PA)に注目し、前立腺癌と高脂肪食との関係を分子レベルで解析した。この結果、PAによる前立腺癌進展にはMIC-1が関与しており、臨床レベルでもMIC-1は腫瘍進展のマーカーや治療標的となることが示唆された(Endcr-related Cancer 2014発表、等)。●さらにPAなどの脂肪酸合成に深く関与するfatty acid synthetase(FASN)と前立腺癌進展の分子機構を解析した。結果としてFASNの高発現により前立腺癌進展が見られたが、その経路にPI3K、MAPKシグナルが重要で、その拮抗シグナルとしてAMPK経路が関与していることが示された(Oncogenesis 2016発表、等)。●また、高脂肪食摂取下の前立腺癌増殖に関与するmicroRNAの網羅的発現解析を行い、高脂肪食は前立腺癌細胞増殖に関与し、その増殖には種々のmicroRNA遺伝子発現の変化を伴うことが確認された。特にmiR-130aは高脂肪食摂取による癌増殖に関連する重要なmicroRNAであることが示唆された(投稿中)。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Oncogenesis
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http://www.med.akita-u.ac.jp/~hinyoki/