研究課題
わが国の尿道炎症例には、女性やmen who sex with men (MSM)からのoral sexによる感染例が数多い。同時に男性も女性やMSMに対してoral sexを行う。このため、陰部、口腔内の微生物が性感染症症例に混在している可能性がある。92名の男性尿道炎症例と17名のコントロールから初尿とうがい検体を得て、M.genitalium、U.urealyticum、U.parvum、M.hominis、T.vaginalisの検出を行った。上記微生物はそれぞれ0、11、3、8、3、14症例のうがい検体より検出されたが、MSM、コントロール症例からは検出されなかった。このことからoral sexにより女性膣内の微生物が男性口腔内を汚染することが分かった。尿道炎患者の原因微生物の解析として、クローンライブラリ法を用いた尿道炎細菌叢の検討を行った。尿道炎58症例の初尿検体を用い、38検体で同法による解析が可能であった。2427クローンを解析し、95細菌、1真菌、1藻類のphylotypeを検出した。淋菌は6検体から検出され、5検体で優位菌(細菌叢のなかで最も検出頻度の高い菌)であった。M.genitaliumは5検体で検出され、3検体で有意菌であった。しかし、C.trachomatis、Ureaplasma属はそれぞれ1、2検体から検出されたのみで、細菌叢における占有率も低かった。H. influenzaeが8検体より検出され、1検体では優位菌であった。これらから淋菌、M.genitalium、H.influenzaeは尿道炎の原因であり、1菌種で尿道炎を引き起こす可能性があることがわかった。また、尿道炎細菌叢には数多くの細菌が検出され、多くの嫌気性菌が検出されるることから、これらの細菌のネットワークにより尿道炎症状が引き起こされる症例があることが明らかとなった。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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