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2014 年度 実績報告書

子宮内膜癌における新規癌遺伝子lipocalin2を標的とした治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 25293339
研究機関信州大学

研究代表者

宮本 強  信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 講師 (70418721)

研究分担者 塩沢 丹里  信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (20235493)
小原 久典  信州大学, 学術研究院医学系, 助教 (30598818)
山田 靖  信州大学, 医学部附属病院, 助教(診療) (60646652)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードlipocalin2 / 子宮内膜癌 / 抗癌剤耐性 / 癌幹細胞マーカー / マイクロアレイ
研究実績の概要

我々はこれまでの研究でlipocalin2 (LCN2)が子宮内膜癌の抗癌剤などの細胞死を誘導するストレスに対し、生存能を亢進させることを見出してきたが、この作用にPI3K経路の関与は見いだせず、機序が不明である。我々は癌幹細胞が抗癌剤耐性を示すこと、癌幹細胞マーカーCD133, CD44 variant(CD44v)等は子宮内膜癌の癌幹細胞を示すものではないが抗癌剤耐性に関与する可能性があることに注目した。子宮内膜癌細胞株HHUA, RL-95-2にともにshRNA法で90%以上LCN2発現を抑制した細胞(HHUA-sh, RL95-2-sh)ではコントロール細胞(HHUA-C, RL95-2-C)に比較して、CD44v, CD133ともに発現が低下し、組み換えLCN2 (rLCN2)添加により発現が回復した。またFlowcytometryでHoechst33342染色により癌幹細胞が含まれるとされるside population(SP)の細胞率について検討した。HHUA-shのSP細胞は2%でHHUA-Cの4%より減少していた。また、rLCN2添加により、HHUA-shのSP細胞の増加が観察された。LCN2はCD133やCD44vの発現増加やSP細胞の増加を介して、抗癌剤耐性を増強している可能性が考えられた。
次にLCN2によるシスプラチン(CDDP)耐性増強の下流分子を検討するために、HHUA-CとHHUA-shでCDDP投与による発現変化率に差のある遺伝子を、マイクロアレイを用いて網羅的に検討した。その結果、HHUA-CでHHUA-shに比較して発現変化率が2倍以上増強している13遺伝子、同じくHHUA-shで発現変化率が2倍以上増強している79遺伝子が見出された。今後、これらの遺伝子について実際にlipocalin2との関連について検証していく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

(理由)LCN2の癌幹細胞マーカーCD133やCD44v発現との関連が示されてきている。これらのマーカー発現との関連はこれまでに報告がなく、我々が初めて示したものである。またSP細胞分画の増加等、幹細胞様細胞の増加の可能性についても新しい知見が得られている。我々は卵巣癌細胞株でも同様の変化を確認しており、LCN2の子宮内膜癌における機能が、徐々に明らかになってきており、分子標的として有望であると考えられる。
また、マイクロアレイによりLCN2の作用分子の候補も絞られつつある。

今後の研究の推進方策

基本的に当初の研究計画の通りに遂行する。マイクロアレイ解析結果から抽出された、LCN2の下流の標的候補因子について、LCN2発現や作用との関係をさらに検討する。またSP細胞とCD44vやCD133発現との関連をflowcytometryで検討する。これまでLCN2の免疫共沈はうまくいっていなかったが、キットを変更するなどの対策により改善され、実験遂行の目途がたった。
cDNA配列から蛋白合成する実験系を用いて、LCN2の鉄分子結合部位のアミノ酸配列を欠失もしくは変異させたタンパクを合成し、機能変化を観察する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件)

  • [雑誌論文] 4-hydroxy estrogen induces DNA damage on codon 130/131 of PTEN in endometrial carcinoma cells2015

    • 著者名/発表者名
      Ke H, Suzuki A, Miyamoto T, Kashima H, Shiozawa T
    • 雑誌名

      Mol Cell Endocrinol

      巻: 400 ページ: 71-7

    • DOI

      10.1016/j.mce.2014.10.027

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Recurrent low-grade endometrial stromal sarcoma with intracaval and intracardiac tumor thrombus: diagnosis, treatment, and surgical management2014

    • 著者名/発表者名
      Miyamoto T, Tachibana R, Kobara H, Takano T, Kato H, Shimizu A, Ohya A, Uehara T, Shiozawa T.
    • 雑誌名

      International Cancer Conference Journal

      巻: 3 ページ: 1-7

    • DOI

      10.1007/s13691-013-0134-6

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Morphological alterations in protamine-deficient spermatozoa2014

    • 著者名/発表者名
      Utsuno H, Miyamoto T, Oka K, Shiozawa T
    • 雑誌名

      Hum Reprod

      巻: 29 ページ: 2374-81

    • DOI

      10.1093/humrep/deu225

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Polypoid endometriosis of the ovary mimicking ovarian carcinoma dissemination: a case report and literature review2014

    • 著者名/発表者名
      4.Yamada Y, Miyamoto T, Horiuchi A, Ohya A, Shiozawa T
    • 雑誌名

      J Obstet Gynaecol Res

      巻: 40 ページ: 1426-30

    • DOI

      10.1111/jog.12358

    • 査読あり

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公開日: 2016-06-01  

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