研究課題/領域番号 |
25293340
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
塩沢 丹里 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (20235493)
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研究分担者 |
浅香 亮一 信州大学, 医学部附属病院, 助教(診療) (00623688)
安藤 大史 信州大学, 医学部附属病院, 助教(診療) (80722925)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | サイクリンA / 子宮内膜癌 / 分子標的薬 / 低分子化合物 |
研究実績の概要 |
サイクリンAはG1/S,G2/M期に関与するサイクリンであり、我々はこれまでに、子宮内膜癌においてサイクリンAの高発現が予後不良因子であり、シスプラチン耐性増強にも関与することを報告してきた。我々は既存薬の化合物ライブラリーを用いたスクリーニングにより、サイクリンAの転写活性を低下させる化合物(以下、単に化合物)を見出した。この化合物の抗腫瘍効果は、これまでin vivo, in vitroともに確認され、子宮内膜癌治療に対する有望なリード化合物であることが示された。またin vivoにおける投与経路についても検討し、マウスにおいては後頸部皮下注射で安定した結果が得られるようであった。次にこの化合物がサイクリンA転写抑制に作用するための真の標的分子が不明であったため、FGビーズ(多摩川精機、飯田、長野県)を用いた標的の同定を行った。まずFGビーズにリンカーを介して本化合物を結合させるが、化合物の標的蛋白との結合部位が不明であることから、リンカーにより標的蛋白との結合部位がマスクされないように、数か所のリンカー結合部位を設定した。これらを、子宮内膜癌細胞から抽出した蛋白と反応させ、ビーズにより形成された化合物-蛋白複合体を回収した。これまでのところ、回収された蛋白溶液からはWestern blottingで2本のバンドが確認されており、少なくとも2種類の標的候補蛋白が存在しているようだ。今後、回収された蛋白を質量分析法等により同定し、機能を解析していく予定である。さらに、標的候補蛋白の構造に合わせ、affinityを増した誘導体の合成を目指して研究を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで化合物の真の標的分子が不明であったが、「FG beads法」により候補分子が抽出された。これまでin vivo, in vitroで子宮内膜癌細胞に対し抗腫瘍効果を示した本化合物について更に研究を進めることは有意義であると考える。
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今後の研究の推進方策 |
基本的に当初の研究計画の通りに遂行する。「FG beads法」により回収された化合物の標的候補蛋白を、質量分析法などを用いて同定する。標的候補蛋白は少数であり、同定可能と考えている。さらに同定されたタンパクの機能を、siRNA法などを用いて検討する。さらに化合物の効果を高めるための構造改変のドラックデザインを行う。In vivo での検討、特にシスプラチンとの併用効果・副作用について既に検討を開始している。この準備は順調に進行している。
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