研究課題/領域番号 |
25293347
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岩崎 真一 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (10359606)
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研究分担者 |
吉川 弥生 東京大学, 医学部附属病院, 病院診療医 (00452350)
樫尾 明憲 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20451809)
中島 敏明 獨協医科大学, 医学部, 教授 (50227790)
藤本 千里 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60581882)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 内耳 / 有毛細胞 / オートファジー / プロテアソーム |
研究実績の概要 |
細胞の品質管理において重要な役割を果たすタンパク質分解系が、内耳障害に際に果たす役割について、細胞レベルで明らかにすることを目的とし、主たる細胞内タンパク質分解系である、ユビキチン・プロテアソーム系とオートファジー・リソソーム系の双方に関して並行して解析を進めている。 1.オートファジー・リソソーム系に関しては、昨年度の研究で作成した、Pouf3-CreトランスジェニックマウスとAtg5 floxマウスを交配することによって作製した、内耳有毛細胞特異的にオートファジーがノックアウトされたマウスの内耳障害について、検討を進めた。このマウスでは、聴性脳幹反応(Auditory brainstem response: ABR)を用いた聴力測定で、生後14日目において既に高度難聴を示した。 内耳の組織学的検査では、内耳有毛細胞特異的オートファジーノックアウトマウスでは、生後5日目ではほぼ正常形態であったが、生後14日目になると内有毛細胞、外有毛細胞の双方において、聴毛の損傷を認め、生後28日になるとほとんどの有毛細胞が消失していた。この有毛細胞の消失はワイルドタイプのマウスでは認めなかった。 また、生後5日目の内耳有毛細胞特異的ノックアウトマウスにおいては、異常なタンパクの凝集体を多数認めた。これらの凝集体は、免疫染色においてユビキチンとp62ともに陽性であった。 2.ユビキチン・プロテアソーム系に関しては、本年度は蝸牛由来のcell lineであるHEI-OC1 cell lineを用いて、H2O2に対するプロテアソーム阻害剤であるMG-132の保護効果についての検討を行った。MG-132は、30 nMの濃度では、H2O2に対する保護効果を有することが確認された。現在、別のプロテアソーム阻害剤でも同様の効果を持つか検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
内耳においてオートファジー・リソソーム系が果たす役割の検討に関しては、内耳有毛細胞特異的ノックアウトマウスの作製、解析とほぼ順調に進められているが、ユビキチン・プロテアソーム系が果たす役割の検討に関しては、内耳の器官培養からHEI-OC1 cell lineに変更して、検討をおこなっているが、MG-132以外のプロテアソーム阻害剤の効果が一定せず、さらなる条件検討を行っている段階である。
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今後の研究の推進方策 |
内耳有毛細胞特異的ノックアウトマウスにおいては、難聴が生じるメカニズムについて、更なる検討を進めるとともに、論文化を行う。 プロテアソーム阻害剤の内耳保護効果については、条件検討を急ぐとともに、内耳保護のメカニズム、プロテアソーム阻害そのものの定量化を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入を計画していた試薬があったが、研究室に予備があったため、購入せずにすんだ。
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次年度使用額の使用計画 |
予備の試薬を使い切り次第、次年度に購入予定である。
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