研究課題/領域番号 |
25293348
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
山田 武千代 福井大学, 医学部附属病院, 講師 (70283182)
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研究分担者 |
藤枝 重治 福井大学, 医学部, 教授 (30238539)
冨田 かおり 福井大学, 医学部, 特別研究員 (30444227)
意元 義政 福井大学, 医学部附属病院, 助教 (50418703)
高林 哲司 福井大学, 医学部, 助教 (70397272)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 鼻副鼻腔炎 / アレルギー性鼻炎 / 花粉症 / 好酸球 / 好塩基球 / 肥満細胞 / 気管支喘息 |
研究実績の概要 |
好塩基球細胞株の実験では、真菌の菌体成分に反応するDectin-1受容体を刺激するとSykを介して、IL-4、IL-13が産生されることを証明し、好塩基球細胞で真菌の菌体成分がTh2を誘導する可能性が判明した。好酸球性鼻副鼻腔炎の難治性、再発性を示す因子としては、気管支喘息、薬剤アレルギー、血中好酸球、篩骨洞病変有意、スギ抗原特異的IgEであった。好酸球性鼻副鼻腔炎では血中TSLPが高値であり、好酸球性鼻副鼻腔炎患者の鼻茸浮遊細胞ではSEB刺激によるTSLP産生が誘導された。 難治性上気道好酸球性病変の一つであるスギ花粉症に関しては、舌下免疫療法の長期成績とバイオマーカーの検索を行った。血清IL-4、IL-17A、TSLPレベルは、4年目で、1年目と比較して有意に減少した。舌下免疫療法4年目の血清TSLP、IL-17Aレベルは舌下免疫療法4年目の症状薬物スコアと有意な相関が認められた。舌下免疫療法1年目の血清TSLPレベルは舌下免疫療法4年目の症状薬物スコアと有意な相関が認められた 。IL-17A、TSLPの減少が認められない症例では長期舌下免疫療法でも効果の得られない症例である。 好塩基球を用いた実験ではスギ花粉抗原によりIL-4が産生されるが、TSLPにより更に産生が亢進することが判明した。ブタクサ花粉症モデルでは鼻局所の抗原暴露により局所の抗原特異的IgE、好酸球浸潤、好塩基球の浸潤が認められた。呼気NOに関する研究では、通年性アレルギー性鼻炎患者で呼気NOが高い症例では、血中IL-13が高値でIL-10が低く、鼻症状、咳症状が有意に高かった。 IgE受容体を介する肥満細胞からのTGF-β1産生は、気道上皮細胞からのplasminogen activator inhibitor-1 (PAI-1) の産生を亢進させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
手術時に得られた鼻茸などの副鼻腔炎組織は病理組織、液体窒素、RNA検索用に保存し、気管支喘息の有無、病理組織所見の好酸球数と、好塩基球数、臨床症状、CT画像スコア、好酸球性副鼻腔炎スコアのデータベースを構築は引き続き進行している。 難治性好酸球性副鼻腔炎患者の好塩基球を分離し、発現遺伝子、発現分子を引き続き検索している。 鼻茸組織及び患者血清を用いたプロテインバイオミクス、リピッドミクスの情報及び好酸球性副鼻腔炎スコアのデータベースと好塩基球からのデータベースに相関する分子を解析している。 塩基球の活性化抑制候補分子が検索されたが、好酸球性副鼻腔炎局所の好塩基球活性化を抑制するか検討している。 気管支喘息合併の好酸球性副鼻腔炎鼻茸分離細胞を採取し、CCDC80, siRNA (CARD11), siRNA(Gab1)を作用させ、抗体ビーズでMACSを用いて、T細胞、B細胞、好酸球、造血前駆細胞(CD34陽性細胞)を分離し、T細胞ではEGR2とCCR4、B細胞ではクラススノイッチ関連AID、germline transcrip、好酸球ではプロスタノイド(LT/PG)、ECP、EDN、Galectin、L-plastin、Cys-LT1をELISA、フロサイトメトリー、real time PCR、Western blotを用いて、定量・半定量法で観察する。造血前駆細胞はPCRアレイで網羅的に細胞内分子の変化を検討している。
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今後の研究の推進方策 |
上気道好酸球性病変モデルとしてOVA感作モデルマウスを使用モデルマウスにおける好塩基球活性化抑制候補分子の影響を観察する。BALB/c マウス(6~8週齢)に、OVA(及びAlum 2 mg)を腹腔内投与した後、OVAを鼻腔内投与する。CST-1、FK506、リコンビナントApoA4、キメラ分子X、N-Acetyl Cysteine, calcitriol, protectinD1、B type CpG DNA、CCDC80、 siRNA (CARD11)、 siRNA(Gab1)を鼻腔内投与する。OVAを鼻腔内へ連日チャレンジし、くしゃみ回数、鼻掻頻度を観察する。好塩基球活性化抑制候補分子鼻腔内投与しOVA鼻腔内チャレンジ翌日と1週間後に血液を採取し、血清中Th1/Th2サイトカイン産生を、Bio-plex マルチアッセイキット、ELISAキットを用いて検討する。チャレンジ翌日と2日後にマウスの鼻中隔粘膜を採取し、好塩基球及び好酸球の細胞数(視野あたり)を組織学的に観察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
マウスモデル実験のために、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
血清中Th1/Th2サイトカイン産生を、Bio-plex マルチアッセイキット、ELISAキットを用いて検討する。
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