研究課題
医原性喉頭麻痺が喉頭麻痺全体の 40-50%を占めるようになり原疾患治癒後の喉頭麻痺による患者のQOL 低下を改善することが強く求められている。いまだ不明な点が多い喉頭麻痺の基礎的、臨床的な病態をまず明らかにし、その結果をもとに新たな治療法の開発を目指すことが重要である。基礎研究では反回神経脱神経モデルおよび神経縫合モデルを作成し、筋衛星細胞の動態を評価した。脱神経群では神経筋接合部の再生や筋線維の回復が見られず、M-cadherin、MyoDの発現上昇は持続した。M-cadherin、MyoDの発現上昇は筋線維の新生反応を反映していると考えられる。しかし、筋線維が新生しても神経支配がないと有効な筋線維再生にはいたらず筋委縮が進行したものと考えられた。一方、神経縫合群では処置後3週で神経筋接合部の再生が生じるのに伴い、M-cadherin、MyoDの発現も平常化した。有効な筋再生に伴い筋衛星細胞の活性化状態から脱したためこうした結果になった可能性が考えられた。神経再支配後に筋再生が不十分な症例については脱活性化した筋衛星細胞を再活性化するような薬剤を投与することでさらなる筋再生を促すことができると期待できる。脱神経後の声帯粘膜固有層におけるヒアルロン酸含有量は正常と比較して低下するとの予測に反し有意差はなかった。臨床研究では三次元CTと発声機能の関連の検討において、声帯の過内転が発声機能の改善に影響しないことが明らかになった。神経筋弁移植術後患者の筋電図検査では神経筋弁移植術により甲状披裂筋の神経再支配を促すことが示唆された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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