研究課題
次世代光干渉断層計(Optical Coherence Tomography, OCT)の測定を種々の眼疾患患者において行い,測定の精度及び適合性を検討するとともに,病態の新たな解明を行った.偏光感受型OCTで円錐角膜の初期から進行例までを測定し,円錐角膜眼においては偏光位相差に偏りが見られるほか,シグナルが上昇していること,Amsler & Muckenhirn分類と相関して角膜実質の複屈折が増加していくことを明らかにした.片眼性の円錐角膜患者の正常な僚眼で,細隙灯顕微鏡検査所見でもトポグラフィーでも変化が見られないものをforme fruste keratoconusというが,その状態においてもforme fruste keratoconusにおいても偏光位相差が明らかに変化していた例を見出し,角膜形状の変化より早期に角膜実質コラーゲンに質的変化が生じている可能性を示した.緑内障眼における濾過手術の術後経過を観察し,濾過胞内の偏光位相差と,これまで前眼部OCTで計測されてきたパラメータ群(濾過胞内部の水隙の大きさ,壁の厚さ,過胞内の小水胞の数,強膜フラップ開口部,強膜フラップ下の水隙の有無,低吸収領域の体積など)が,濾過胞機能すなわち眼圧とどのように関連するか検討した.多変量解析を用いて解析したところ,濾過胞内の偏光位相差の変化が濾過胞機能と最も強く関連し,次いで患者年齢,術後期間,濾過胞内部の水隙の大きさ,壁の厚さ,低吸収領域の面積などが有意な関連を示した.これまで濾過胞の高さや内部の水隙などが機能的な濾過胞の因子として注目されてきたが,以前は測定することができなかった濾過胞の内部線維化という新しい質的性状の変化を偏光OCTで評価でき,さらにその内部線維化が濾過胞の機能を決定する重要な因子であることを示すことが出来た.
2: おおむね順調に進展している
評価装置を外来に設置し,順調に測定を重ねている.正常眼のみならず,病態眼,手術後眼などのデータも着々と取得しており,データベース構築が進んでいる.
当初の方針通り研究を遂行していく予定である.
ソフトウエアの購入計画に一部変更があったため.
次年度研究費とまとめて予算を執行する予定.
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 6件、 招待講演 2件)
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