研究実績の概要 |
本年度、我々はヒトiPS細胞由来網膜色素上皮細胞 (RPE) およびマウスiPS細胞由来RPEを分化・誘導した。ヒトiPS細胞は、ベクター残存試験(定性・定量PCR)、未分化マーカー確認試験(免疫染色: OCT-3/4, Nanog, SSEA-4, TRA-1-60)を行った。ヒトiPS細胞由来RPEは、RPE外観(形態、色調)、RPE特異的遺伝子発現(定性・定量RT-PCR: RPE65, Bestrophin-1, MERTK, CRALBP)、RPE純度試験(免疫染色: RPE65, Bestrophin-1, Pax6, MiTF, ZO-1)、増殖因子分泌試験(VEGF/PEDF ELISA)、貪食試験(蛍光顕微鏡)、経上皮電気抵抗測定を施行した。ヒトiPS細胞およびRPEのこれらの品質規格試験に特に問題は見られなかった。また、そのiPS細胞由来RPEのT細胞、B細胞、樹状細胞、単球、NK細胞ら免疫炎症細胞の免疫調節作用を解析した。ヒトiPS細胞由来RPEのこれらの細胞抑制試験、サイトカイン産生能を検討したところいずれの細胞に対しても強い抑制を示した。また、iPS-RPEのMHC-class I、class II、および副刺激分子(CD80, CD86, B7-H1など)の発現変化をflow cytometryで検討したところMHC-class Iの構成的な発現、class IIの無発現、副刺激分子はB7-H1、B7-H3の発現が見られていた。マウスiPS細胞由来RPEに関しては分化・誘導を行いRPE特異的遺伝子発現を確認したが免疫原性解析は来年度行う予定。
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