研究実績の概要 |
我々は、ヒトiPS細胞由来網膜色素上皮細胞 (RPE)、マウスiPS細胞由来RPE、サルiPS細胞由来RPEを分化誘導を行った。以前human iPS-RPEのT細胞などの免疫炎症細胞の免疫調節作用を解析し報告したが、human iPS-RPE同様、mouse iPS-RPEも活性化T細胞の強い抑制を示した(Iwasaki Y, Sugita S, et al. PLoS One. 2016)。また、human iPS-RPE分化誘導方法に類似した方法にて、MHCホモのmonkey iPS-RPEを樹立した。そのiPS-RPEを他家移植(MHC一致 vs不一致)で網膜下に移植して、術後に眼底、蛍光眼底撮影(FA)、網膜断層検査(OCT)で拒絶の有無を評価した。その結果、MHC不一致の組み合わせではFAでのリーク、OCTでの黄斑浮腫等の拒絶を示唆する所見が見られた。一方、MHC一致への移植では炎症の所見はなく網膜はintactであった。これらの結果、サルRPE他家移植モデルでは免疫系の細胞がMHCの型が合わないRPEを認識、逆に、合うRPEを認識しない可能性が示唆された。(Sugita S, et al. Stem Cell Reports. 2016)。In vitroの試験ではヒト健常人の末梢血細胞やT細胞を用いて、作製したHLAホモiPS-RPE細胞(HLA6座がホモ接合体)と共培養し、末梢血単核球(PBMC)および T細胞の活性化を見た。In vivoの結果と同様に、対照と比べて、HLAが合う健常人由来のPBMCやT細胞は、HLAホモドナー由来のiPS-RPEに対してその反応が弱かった、一方、HLAが合わないコントロールRPEは逆に活性化が見られていた(Sugita S, et al. Stem Cell Reports. 2016)。
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