研究課題/領域番号 |
25293362
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
柴田 実 新潟大学, 医歯(薬)学総合研究科, 客員研究員 (50196432)
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研究分担者 |
松田 健 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50423166)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 神経交叉 / 神経可塑性 / 脊髄髄節 / 支配レベル / 脊髄前根 / 脊髄後根 |
研究実績の概要 |
マウスを用いて筋皮神経-尺骨神経交叉移行術モデルを作成し、脊髄および末梢神経の連続性を保ったまま標本を摘出する手技を確立した。 また、手術未施行のマウス腕神経叢の支配髄節レベルの同定を行った。マウスの上腕で筋皮神経、尺骨神経をそれぞれ同定した。;神経上膜を開窓し、カルボシアニン蛍光色素の結晶を置き、逆行性に神経標識を行った。末梢神経線維から連続して、遠心性経路である前角細胞~軸索、求心性経路である軸索~後根神経節を連続的に観察することが可能であった。その結果、支配髄節については、筋皮神経はC5,6,7レベル(n=6)、尺骨神経は少数のC7支配を受けるが大部分はC8,Th1レベル(n=6)であり、ヒト、ラットと同様であることが判明した。 マウスモデルでもラットモデルと同様に神経交叉移行術後に支配髄節レベルの変化を来すことが判明した。すなわちマウス筋皮神経近位-尺骨神経遠位(n=6)、尺骨神経近位-筋皮神経遠位(n=6)の交叉術を行うと交叉モデル前者の術後に縫合部遠位より脊髄支配髄節を追跡すると筋皮神経の支配髄節に加え、尺骨神経支配髄節支配が加わるが、後者の交叉モデルでは尺骨神経支配髄節のみが追跡される事が判明した。 以上から、マウスモデルでも神経交叉術後にラットモデルと同じ神経可塑性が発現することがわかり、より個体サイズの小さいマウスモデルで神経可塑性性発現経路の三次元解析が可能であることがわかった。 現時点ではマウス腕神経叢全体を透徹標本で観察することは困難であるが横断標本所見を連続的に再構築する方法で可塑性発現経路の探索を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マウス腕神経叢全体標本を三次元的に再生経路全体を十分透徹化した標本で共焦点顕微鏡で連続的に観察することは容易ではない事が判明した。 地道な操作ではあるが連続切片を作成して染色、観察することで、再生経路全体を明らかにすることができないか検討している。時間がかかり、多くの労力を要するが脊髄の連続切片を作成してマッピングしていくことは可能と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
三次元的に再生経路全体を観察することは容易ではないが、連続切片を作成して染色、観察することで、再生経路全体を明らかにすることができないか検討している。時間がかかり、多くの労力を要するが脊髄の連続切片を作成してマッピングしていくことは可能と考えられる。現在、神経交叉縫合後に脊髄を摘出し、コリンアセチルトランスフェラーゼ染色(ChAT染色)を行い、脊髄内の細胞体の分布や数、形態の変化を観察している。 また、カルボシアニン蛍光色素に変えてコレラトキシンB(CTB)による標識も行っている。まだ、数が少なく、DiIで行っていたのと同様の結果になるか不明であるが、より正確にトレースをすることが可能になると思われる(n=6)。またCTBは、逆行性にも順行性にもトレースできるので、神経再生後の神経筋接合部の観察も可能と考えられる。 さらに、神経再生後の神経筋接合部の観察のため筋皮神経を切断してからの日数をかえて脊髄~筋皮神経~上腕二頭筋の標本を摘出して、サンプルを作っている。 電気刺激を行い筋電図を得る装置(Power lab)を購入し、神経再生後の機能回復についても評価する予定。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、個体の小さいマウスモデルでの神経交叉術が困難で神経接合方法をフィブリン糊使用も含め様々検討したが、最終的には繰り返し、縫合練習を行うことにより顕微鏡下の神経縫合で安定した神経接合が可能となった。この、技術的な模索に時間を要したがその後予定モデルは計画に準じてほぼ所期の計画が達成されつつある。 マウス腕神経叢全体標本の作製は可能であるが、作製標本の十分な透徹処理が困難で、共焦点顕微鏡観察による可塑性発現経路の探索が困難である事がわかった。連続横断切片所見を三次元構築する方法で解析を予定している。
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次年度使用額の使用計画 |
マウス腕神経叢全体標本の共焦点顕微鏡による可塑性発現経路の連続軸索観察は困難であるが、連続横断切片所見を三次元構築する方法で解析を予定している。 神経交叉術後の可塑性発現の更なる傍証として神経刺激による誘発筋電図記録により支配髄節レベルの変化を検討予定である。
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