研究課題
敗血症病態は,感染症による炎症の後に,さまざまな臓器に線維芽細胞増殖を生じる。この過程について,マウス敗血症モデル及びヒト線維芽細胞培養で,線維芽細胞の増殖と制御期待する研究を施行した。敗血症モデル動物として8~12週齢の雄性BALB-Cマウスを用い,盲腸結紮穿孔による敗血症に類似する病態を評価した。当教室は,これまでに肺や心房筋に起きる炎症を評価してきたが,繊維芽細胞は肺や心臓に発現しており,S100 calcium-binding protein解析では,敗血症の時系列で,肺や心房筋膜境界面への線維芽細胞の増加を認めた。また,敗血症の遷延により組織内増殖とα-smooth muscle action(SMA)の産生を高めた 。ヒト胎児肺由来線維芽細胞株IMR-90の培養研究では,カテコラミンのβ受容体作用と炎症に関与するトロンビン活性が,線維芽細胞増殖に強く関与することが評価できた。IMR-90において,トロンビンは10μg/mLまでの濃度において,暴露後2-3時間をピークとして濃度依存的にprotease activated receptor(PAR)の発現を高め,トロンビン刺激の24~48時間までにアクチンフィラメントを優位に発現させ,myofibroblastとして増殖した。また,ドブタミン(DOB)は10-7Mの濃度において,投与24~48時間で濃度依存的にIMR-90の増殖を加速し,myofibroblastとしてα-SMAなどを発現させた。RT-PCR解析および免疫組織染色では,IMR90はβ受容体サブタイプのすべてを発現していた。本研究では,敗血症病態のマウス主要臓器で,肺線維芽細胞が増殖する可能性が同定された。これらは,炎症に随伴してトロンビン活性が高まることや,炎症に随伴する線維芽細胞内のAP-1の活性化が関与していた。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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