敗血症病態は,感染症による炎症の後に,さまざまな臓器に線維芽細胞増殖を生じる。この病態と治療を考案するために,マウス敗血症モデルとヒト線維芽細胞培養で線維芽細胞に対する研究を施行した。敗血症モデル動物には8~12週齢の雄性BALB-Cマウスを用い,盲腸結紮穿孔による敗血症に類似する病態を評価した。S100 calcium-binding proteinなどを用いた繊維芽細胞の分布の解析では時系列で肺や心房筋膜境界面への線維芽細胞の増加を認めた。また,ヒト線維芽細胞の培養検討では,カテコラミンのβ受容体作用および炎症に関与するトロンビン活性が,線維芽細胞増殖に強く関与することが評価できた。
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