研究課題/領域番号 |
25293369
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究 |
研究代表者 |
木下 学 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 医学教育部医学科専門課程, 准教授 (70531391)
|
研究分担者 |
関 修司 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 医学教育部医学科専門課程, 教授 (80531392)
齋藤 大蔵 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 防衛医学研究センター, 教授 (90531632)
田中 祐司 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 病院, 教授 (50221396)
阪本 敏久 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 病院, 教授 (50178571)
小野 聡 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 防衛医学研究センター, 准教授 (30531355)
守本 祐司 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 医学教育部医学科専門課程, 准教授 (10449069)
宮崎 裕美 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 防衛医学研究センター, 助教 (30531636)
高橋 哲也 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 病院, 助教 (00589905)
檜 顕成 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 病院, 助教 (90383257)
中島 弘幸 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 医学教育部医学科専門課程, 助教 (10574064)
西川 可穂子 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 病院, 助教 (20345416)
萩沢 康介 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 医学教育部医学科専門課程, 助教 (50539244)
武岡 真司 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (20222094)
半田 誠 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (40129614)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | エンドトキシントレランス / 核内受容体 / グルココルチコイド受容体 / 合成CRP / ナノシート / 止血ナノ粒子 |
研究概要 |
Endotoxin (LPS) toleranceを誘導したマウスのKupffer細胞では、大腸菌殺菌能力が増強するものの、TNF産生能は抑制されることが示唆され、本機序を解析中である。Ursodeoxycholic acid (UDCA)を食餌に加えマウスに投与すると、肝臓でglucocorticoid受容体(GR)の発現が亢進したが、siRNAや拮抗剤でGR発現を阻害すると抑制されていたNK細胞のIFN-γ産生が回復した。UDCA刺激ではGR亢進を介して細胞性免疫が抑制され生体防御に変化を認め、Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol 305: G427-38, 2013.に報告した。合成CRPはヒトの末梢血単核球でも炎症性サイトカイン産生を抑制する一方で抗腫瘍活性は増強し、生体防御に魅力的な因子の1つであった。これをInflammation 36: 781-92, 2013に報告した。 ナノシートを用いた臓器損傷被覆治療では、家兎の下大静脈損傷に対してナノシートによる被覆治療で止血救命効果が得られ、J Vas Surg: Venous & Lymphatic Disord 1; 298-95, 2013に報告した。また、マウスの皮膚欠損部潰瘍に対してナノシートを被覆するだけでも創傷治癒促進効果が認められ、Plast Reconstr Surg 131: 236-40, 2013に報告した。ナノシートによるクモ膜欠損部被覆治療にも成功し、J Clin Neurosci 20: 301-5, 2013.に報告した。ナノシートを裁断してゲル化し、これを熱傷創面に塗布することで通常のナノシートと同様な創傷被覆効果が得られ、Adv Mater 25: 545-51, 2013に報告した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Endotoxin toleranceに関する研究では、大腸菌感染時にどの細胞のTNF産生が抑制されるかに、ある程度時間を費やしたが、これを特定し得た。H26年度はこの細胞のtolerance誘導時における貪食機能の解析などを積極的に行い、toleranceの機序解明がなされると考える。さらに明らかになった機序を利用し、重症感染症時の抗生剤に依らない治療対策を開発することに繋げたい。一方、glucocorticoid受容体(GR)を制御することで生体防御が如何に変化するかについては、概ね研究を達成し得たと考えている。すなわち、GRを活性化することで、細胞性免疫が抑制され炎症応答が減弱することが分かった。Concanavalin-A肝炎などの炎症性肝疾患は軽減するが、菌排除に細胞性免疫が重要な細菌感染などは増悪する危険性が示唆された。合成CRPに関しては、ヒトのマクロファージ系細胞でもマウスと同様な炎症性サイトカイン産生抑制効果が得られ、さらには抗腫瘍効果が得られ、当初の研究目標を達成し、今後は臨床応用へ向けた準備をしている。 ナノシートを用いた臓器損傷部被覆対策は研究が順調に進捗し、多くの成果があげられた(原著論文4本)。止血ナノ粒子に関しても、臓器出血に対する後投与での止血効果は確認しているが、その機序やに関して検討中である。
|
今後の研究の推進方策 |
Endotoxin toleranceに関する研究では、引き続き貪食細胞のTNF産生と殺菌能との関係がtoleranceでどのように変化するか、研究する。核内受容体に関する研究では、PPAR-γなどの他の核内受容体が生体防御やマクロファージの貪食能に与える影響などを研究する予定である。糖尿病マウスを用いた研究では、大腸菌感染時にはNK細胞の過剰活性化と、これが産生するIFN-γが臓器傷害を誘導させることが分かった。今後はinflammosomeの活性化の影響を検討する予定である。 ナノシートに関する研究では本シートが腸管癒着に対してどのような癒着防止効果があるかを引き続き検討する予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
H25年度は効率よく研究が行われたが、H26年度に経費のかかる研究が一部持ち越されたため。 費用がかかる中和抗体による阻害実験やsiRNAを用いた実験などを多数行う。
|