研究課題/領域番号 |
25293370
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中川 一路 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70294113)
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研究分担者 |
丸山 史人 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30423122)
野澤 孝志 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10598858)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | A群レンサ球菌 / オートファジー / Rab9 / Rab23 / Rab17 |
研究実績の概要 |
本研究では、細菌の細胞質内への侵入に伴う炎症反応の惹起を,従来細胞内の検知システムと考えられていたNod1, Nod2レセプター以外のNod-like receptor群に着目し,A群レンサ球菌の侵入に伴う初期炎症反応の惹起するシステムを明らかにするとともに,細胞内への侵入に伴って誘導される細胞死の誘導メカニズムについて解析を加える(図1).さらに,オートファジーによって分解される菌は,細胞質内で分解されることから従来のMHCクラスIIによる抗原提示だけでなく,クラスI分子を介した抗原提示を導く可能性が示唆される.そのため,これらの可能性も含め,免疫担当細胞活性化のレパトアに対するオートファジーの影響についても検討を加える. 本年度は,A群レンサ球菌感染特異的に誘導されるオートファジーについて,飢餓誘導で誘導されるオートファジーとの差違を明確にするために細胞内小胞輸送に必須であるRabタンパク質についてさらに詳細な解析を行った.その結果,感染特異的に誘導される因子として既に報告を行ったRab9, Rab23A以外の因子であるRab17を同定し,この因子によって,リサイクリングエンドソームからの膜供給が行われることを新たに見いだした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
感染特異的に誘導されるオートファジーに関わる因子で,特に細胞内小胞のトラフィッキングに重要な役割を果たしているRabについて解析を行っているが,通常の飢餓誘導ではなく感染時にのみ誘導される因子を多数同定することが出来ている.特に,本年度報告したRab17は,リサイクリングエンドソームに特異的と考えれてきたが,このRab17を用いてリサイクリングエンドソームをオートファジーに利用することができることを証明できた.
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今後の研究の推進方策 |
本研究を行うにために,培養細胞レベルでのCRISPR/Cas9による遺伝子破壊法を導入したが,その方法がかなり確実に遺伝子破壊細胞を作成することができるようになった.現在,表題で示しているAtg5以外にも,オートファジーに必須であるAtg4, 7, 9, 12, 14などの欠損細胞も完成し,またRabタンパクについても20種以上のKO細胞が完成しているため,さらに詳細な解析を行っていく予定としている.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年6月から8月にかけて,前任地の東京医科歯科大学から京都大学への移転にかかり,すべての実験がストップした状況となったため.
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次年度使用額の使用計画 |
前年度の解析の一部を平成27年度に行うが,平成26年度後半期にかなり実験の進展があったため,大幅な変更の予定なく,さらに研究を進展させる.
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