研究実績の概要 |
動物実験モデルを用いて明らかにしたLFの口腔癌の増殖と浸潤に対する抑制効果のメカニズム解析をin vitroの系で検討した。 Ⅰ.LFによる口腔腔癌の骨浸潤抑制効果の分子メカニズムの解明:1)LFはLRP-1を介して細胞内に移行することでTRAF6のポリユビキチン化を抑制し、NF-kBおよびMAPK経路の抑制を介して,IL-1bやRANKLの発現を減じた。2)LFは骨髄間葉系細胞と骨芽細胞の共培養で癌細胞の培養上清が誘導する破骨細胞形成を有意に抑制した。Ⅱ.LFの口腔癌に対する抗腫瘍作用の分子メカニズムの検討:1)LFはp53やp21の発現誘導、cyclin D1の発現抑制、G1期周期停止の誘導を介して、癌細胞の増殖を濃度依存的に抑制した。また、LFはPI3K/mTOR経路を介してp70S6Kinase(pS6K)の発現を抑制し、p53の活性化ならびにAktやERK1/2の抑制を介したBadとbcl2の抑制ならびにcaspase 9,3,6,7の開裂を誘導した。2)LFは癌細胞の遊走と浸潤を有意に抑制し、ERK1/2の抑制を介してtPAの誘導するMMP-1やMMP-3の発現を抑制した。また、LFはTWISTを不活化することによってE-cadherin発現を増加させ、EMT癌細胞の形態を紡錘形から立方形へと変化させ,vimentin発現を抑制した。よって,LFはEMT癌細胞にMETを誘導し,浸潤能や遊走能を減じることが明らかとなった。Ⅲ.LFが腫瘍血管新生に与える影響の検討:LFは腫瘍血管細胞の増殖、遊走、血管形成を抑制した。また、LFはAktのリン酸化を抑制し、bcl-2と bcl-xlの発現を抑制した。さらに VEGF-Aとその受容体の発現も抑制した。 以上の結果から、LFは口腔癌細胞や腫瘍血管細胞の増殖や浸潤を抑制し、口腔癌細胞にアポトーシスやMETを誘導することが明らかになった。
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