研究概要 |
PorSS分泌機構は現在、いままで知られているグラム陰性菌の分泌機構とは異なるものであることから9型分泌機構(T9SS)と改名された。 (1)P. gingivalisのT9SS構成タンパク質の局在及び基本構造の解析 PorSS構成タンパク質(PorK, PorL, PorM, PorN, PorP, PorQ, PorT, PorU, PorW, Sov)の菌体内局在についてはcell fractionationを行い、膜画分調製後に界面活性剤による可溶化感受性にて内膜及び外膜への局在を明らかにしてきた。さらに詳細に解析するため、膜画分をスクローズ密度勾配遠心分離法にて物理的に内膜と外膜とに分離し、PorK, PorL, PorM, PorN, PorP, PorQ, PorT, PorU, PorW, Sovに対する抗体を用いて局在を明らかにした。 (2)PorK, PorL, PorM, PorNの遺伝子は同じ染色体領域に並んで存在しているとともにPorSS装置の基本構造を構成されていると考えられる。PorK, PorL, PorM及びPorNにHisタグを付けた組換えタンパク質を大腸菌にて大量発現させ、精製し、結晶化を試みている。現在、PorM及びPorLについて純度の高い精製物が得られている。 (3)T9SSによって分泌されると推定させるPGN_1416(probable lysyl endopeptidase)についてはアミノ酸配列上、セリンプロテアーゼに分類されるプロテアーゼであるが今までまったく解析されていなかった。そこでこのタンパク質について酵素学的解析とともに抗体作製、変異株構築、形質解析などを行い、リシンのC末端で切断する活性のあるセリンペプチダーゼであることがわかった。また、本酵素の活性化にはRgpプロテアーゼによるプロセッシングが必要であることもわかった。
|