研究課題
本研究課題は、RANKLを骨形成促進薬の新たな創薬ターゲットと考え、RANKLに結合するペプチドの臨床応用に向けた研究展開をすることを目標として研究を進めてきた。今年度は以下のことが明らかとなった。1)RANKL結合ペプチドであるOP3-4は骨芽細胞分化促進作用を持つが、単独では頭蓋骨骨欠損モデルの骨欠損をすべて埋めるほどの骨形成促進作用を持たない。OP3-4と同様なRANKL親和性をもつW9ペプチドも同様であり、BMP-2と併用することにより相乗的な骨形成促進作用を発揮することが明らかとなった。2)0.56 mgのOP3-4を1μgのリコンビナントヒトBMP-2と共に、直径20μmの微粒子状ゼラチンハイドロゲルにしみこませることにより27ゲージの注射針を用いて粘膜下注射を行うことが可能となった。粘膜下注射を行うことにより、マウス上顎骨に骨新生を誘導することが出来た。3)通常、BMP-2は担体の大きさ以上には骨を形成できないが、OP3-4を併用することにより、垂直的に盛り上がる骨を造成することが出来た。骨の石灰化は造成した組織の外側から中心に進むことが蛍光ラベルした非脱灰切片の観察により明らかとなった。このことは、石灰化が始まる前に、すでに骨となる塊が形成されていたことを示している。さらに、注射後7日目の注射部位ではBrDU陽性細胞がBMP-2単独群より増えていたことから、BMP-2により誘導された幹細胞がOP3-4により増殖し、垂直に粘膜を押し上げたのではないかと考えられた。4)細胞表面のRANKLをオリゴマー化するためにOP3-4ペプチドをPEGに結合させたリポソームによりST-2細胞を刺激すると、AktやS6K1リン酸化というRANKLの細胞内への逆シグナルは刺激するものの、そのリン酸化強度はペプチド濃度を1.25%、2.5%、5%と上げても変化は認められず、またin vivoの骨形成促進作用も明らかではなかった。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
平成28年3月23日 東京医科歯科大学より本科研費を用いた仕事をプレスリリースしました。「世界初、手術が不要の注射による簡便な顎骨造成をマウスで成功 」― 歯科医が夢見る患者にやさしい治療法開発への期待 ―
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10.1177/0022034516633170
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