研究課題/領域番号 |
25293378
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
西村 理行 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (60294112)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 骨 / 軟骨 / 転写因子 / Osterix / エピゲノム |
研究実績の概要 |
1.Sp1ファミリー分子の機能的役割を分子生物学的に検討した結果、Osterixに比べて活性は弱いものの、骨芽細胞分化および軟骨細胞分化に対して、Osterixと同様な作用を有していることが明らかとなった。さらに、分子機能に関する検討を行ったところ、Osterixの標的遺伝子に対して同様な転写機能を有していることを見出した。したがって、同定されたSp1ファミリー分子は、骨および軟骨形成において、Osterixの機能を代償している可能性が高いと考えられた。 2.Sp1ファミリー分子の骨形成および軟骨形成における役割をin vivoにて検証するために、Osterix/Sp1ファミリー遺伝子欠損ダブルノックアウトマウスの作製を進めた。具体的には、Sp1ファミリー分子のfloxマウスとCAG-Creトランスジェニックマウスを交配し、Sp1ファミリー分子の遺伝子欠損ヘテロマウスを作出した。次に、Osterix遺伝子欠損ヘテロマウスと、上記のSp1ファミリー分子遺伝子欠損ヘテロマウスを交配し、Osterix/Sp1ファミリー遺伝子欠損ダブルヘテロマウスを作出した。Osterix/Sp1ファミリー遺伝子欠損ダブルヘテロマウス自体には、大きな異常を認めないので、ダブルヘテロマウス同士の交配により、ダブルノックアウトマウスの作出が可能と判断された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度に予定していた、同定されたSp1ファミリー分子のin vitroでの機能解析が進展し、Osterix/Sp1ファミリー遺伝子欠損ダブルノックアウトマウスの作製も順調に進んでいるので、本研究計画はおおむね順調に進展していると考えられた。
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今後の研究の推進方策 |
1. Sp1ファミリー分子欠損マウスとOsterixのダブルノックアウトマウスの作製 昨年度までに作製した、Sp1ファミリー分子欠損マウスとOsterix欠損マウスを交配し、ダブルヘテロマウスの交配を継続する。得られたダブルヘテロマウスを交配し、Sp1ファミリー分子およびOsterixのダブルノックアウトマウスを作製する。 2. Sp1ファミリー分子/Osterixダブルノックアウトマウスの解析 作出されたDKOマウスは、Osterix KOマウスを対照群として、E18.5およびP0日齢にX線撮影、 CT撮影、骨格標本、病理組織学的解析にて評価し、膜性骨化ならびに内軟骨性骨化が完全に阻害されるか否かを検討する。 3. 基質小胞形成に関わるOsterixの分子作用メカニズムの解明 Osterix KOマウスおよび軟骨特異的Osterix cKOマウスを解析し、軟骨基質における基質小胞の形成にOsterixが必須であることを明らかにしている。さらに軟骨特異的Osterix cKOマウスの肢芽組織を用いてMicroarray解析したデータを保持している。そこで、この貴重なデータを様々な遺伝子データベース、疾患データベースならびに文献と照らし合わせ、基質小胞形成に関わる候補分子の絞り込みを実施する。申請者らは、石灰化に関連すると示唆されているEnpp1及びEnpp6の発現が軟骨特異的Osterix cKOマウスの肢芽組織で著明に減少していることを明らかにしている。そこでEnpp1ならびにEnpp6を含め、基質小胞形成に関わると考えられる候補遺伝子のアデノウイルスを作製し、Osterix KOマウスの肢芽細胞にそれぞれの遺伝子を導入し、バイオマトリックスを用いた3次元培養を行い、石灰化ならびに基質小胞形成がレスキューできるか否かを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度に予定していた実験が予定より若干、順調に進み、実施予定の実験を予定より効率的行えたため、使用予定の研究費が、予定よりも少なくなった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度の研究に必要な研究試薬に充当させ、当該研究費を使用する。
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