研究課題/領域番号 |
25293380
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
岡部 幸司 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (80224046)
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研究分担者 |
岡本 富士雄 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (60153938)
鍛治屋 浩 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (80177378)
松下 正之 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30273965)
福島 秀文 福岡歯科大学, 歯学部, 准教授 (70412624)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | TRPM7 / ミネラル輸送 / 歯牙石灰化 / エナメル芽細胞 / 象牙芽細胞 / コンディショナルKOマウス |
研究概要 |
歯は上皮―間葉系の相互作用により主に象牙芽細胞とエナメル芽細胞から形成されるが、それぞれの石灰化過程を担う分子の同定は不明である。本研究は歯牙形成に関わる新規分子として、我々が生体中でも特に象牙芽細胞やエナメル芽細胞に極めて高発現するTRP分子として発見したキナーゼ活性を有するユニークなCa2+透過型陽イオンチャネルであるTRPM7に注目し、この分子のミネラル輸送機構とこれに続く歯の発生と石灰化調節機構への関与をin vitro実験系とin vivo実験系の双方で解明することにある。 全身的なTRPM7遺伝子欠損マウスは胎生致死でin vivo解析できないため、まずTRPM7キナーゼ変異マウス(キナーゼ機能欠型)を分担研究者から入手し歯牙を解析した。その結果、TRPM7キナーゼ変異マウスでは、前歯の着色が白色を呈することやマイクロCTを用いた形態解析の結果、エナメル質や象牙質の石灰化度が低下するなどの歯牙形成過程に異常が認められた。また、株化細胞より誘導した野生型の象牙芽細胞やエナメル芽細胞を用いて、TRPM7の高発現やTRPM7を介するイオン輸送の存在も確認でき、TRPM7分子が高発現しイオン輸送体として機能していることが明らかとなった。一方、歯牙形成や石灰化過程におけるTRPM7のイオン輸送自体の役割をin vivo実験系で解明するために、我々が作成したTRPM7-floxマウスを再調整し、これ用いて象牙芽細胞及びエナメル芽細胞に特異的タンパクCreマウスの交配により、象牙芽細胞及びエナメル芽細胞に特異的なTRPM7コンディショナル欠損マウスを現在作製中である。これらの取組みは、歯牙発育障害の病態解明や歯牙再生研究へ新しい指針を提供すると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は、当初の計画に沿って下記①~③の実験を実施し実績を得た。 ①TRPM7分子の歯の発生や石灰化調節機構への関与をin vivo実験系での解明に関しては、TRPM7キナーゼ変異マウスを解析した結果、前歯の着色が白色を呈することやエナメル質や象牙質の石灰化度が低下するなどの歯牙形成過程に異常が明らかとなった。 ②象牙芽細胞やエナメル芽細胞におけるTRPM7の発現や局在、及びTRPM7を介するイオン輸送機構や石灰化物形成との連関解明のためのin vitro実験系については、株化細胞より誘導した野生型の象牙芽細胞やエナメル芽細胞を用いて、TRPM7の高発現やTRPM7を介するイオン輸送の存在が明らかとなった。 ③歯牙形成や石灰化過程におけるTRPM7のイオン輸送自体のin vivo実験系での機能解析に関しては、TRPM7-floxマウスと象牙芽細胞及びエナメル芽細胞に特異的タンパクCreマウスの交配により、象牙芽細胞及びエナメル芽細胞に特異的なTRPM7コンディショナル欠損マウスを作製に着手している。 以上の①と②に関しては、研究計画上、充分な研究結果が得られており、③に関してもコンディショナル欠損マウス作製が現在進行形である。従って、平成25年度の研究計画の達成度はおおむね順調にに進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度に得られた結果を基にして、以下の計画を進める。 ① TRPM7キナーゼ変異マウスの歯牙硬組織へのin vivo表現型の形態解析や組織解析をさらに詳細に行うことで、TRPM7の歯牙形成や石灰化過程におけるin vivo実験系での役割を解明する。これには単純X線解析、マイクロCT解析、元素分析や電子顕微鏡等を用いて歯牙や歯周組織を調べる。 ② TRPM7キナーゼ変異マウスの歯杯または歯髄細胞等を用いてTRPM7が欠損した象牙芽細胞及びエナメル芽細胞を誘導し、野生型のTRPM7発現細胞と比較しながらin vitro実験系でTRPM7分子のCa2+輸送機構や石灰化物形機能との連関を解析する。 ③ 培養細胞や株化細胞より誘導された象牙芽細胞及びエナメル芽細胞にテトラサイクリン誘導性にshRNAが発現するベクターを導入し、テトラサイクリン処理により恒常的にTRPM7-shRNAを発現したノックダウン細胞を用いて、in vitro実験系でTRPM7分子のCa2+輸送機構や石灰化物形機能との連関を解析する。 ④ 平成25年度は、我々が作成したTRPM7-floxマウスの再調整を行った。平成26年度は、このTRPM7-floxマウスと象牙芽細胞及びエナメル芽細胞に特異的タンパクCreマウスの交配により、象牙芽細胞及びエナメル芽細胞に特異的なTRPM7コンディショナル欠損マウスを作製し、歯牙硬組織へのin vivo表現型の形態解析や組織解析を行うことで、TRPM7の歯牙形成や石灰化過程におけるin vivo実験系での役割を解明する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成26年度に次年度使用額が生じた理由として、当初計画として、TRPM7コンディショナル欠損マウスを作製のために必要な象牙芽細胞及びエナメル芽細胞に特異的タンパクCreマウスを選定し複数種類導入し、購入や導入に関する費用や飼育費等に多くの予算を支出する予定であったが、実験動物メーカーの準備状況や共同研究グループの研究進捗の遅れもあり、一部のCreマウスの導入しか実施できず、主にこれらに関わる経費が次年度使用額となった。 平成26年度は、残りのCreマウス導入経費や動物飼育費用、分子生物学実験に関わる経費の内、特にshRNAの作製や抗体等の購入費用を中心に、次年度使用額と合わせて使用していく予定である。
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