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2014 年度 実績報告書

歯周病細菌の宿主細胞内輸送に注目した全身疾患発症メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 25293383
研究機関長崎大学

研究代表者

筑波 隆幸  長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (30264055)

研究分担者 坂井 詠子  長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (10176612)
岡元 邦彰  長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (10311846)
西下 一久  長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (20237697)
中山 浩次  長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (80150473)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード歯周病原細菌 / 宿主細胞内輸送 / 全身疾患
研究実績の概要

歯周病原性細菌Porphyromonas gingivalis(以下P. gingivalis)は口腔内から血管を介して血流性に遠隔臓器に到達し、様々な全身疾患をもたらす。P.gingivalis は、歯肉上皮細胞では直ちに細胞外へ排除されるのに対し、心循環系内皮細胞では長時間細胞内寄生・増殖することが示されている。本研究の目的は、P.gingivalisの細胞内侵入・輸送機構の細胞による差異が、全身疾患発症に影響を及ぼすのか否かを明らかにし、さらに歯周病関連全身疾患の予防・治療に応用することである。具体的には、歯周病との関連性が指摘されている心循環系疾患、非アルコール性脂肪肝、呼吸器系疾患などのP.gingivalisに対する細胞内輸送の差異を、特にメンブレントラフィック機構に注目し、解析を進める。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は計画予定であった歯周病菌が引き起こす全身疾患として非アルコール性脂肪肝炎(NASH)のモデル実験をヒト肝細胞由来HepG2細胞を用いて解析できた。
P. gingivalisを各種細胞に取り込ませ、細胞内での生存率、細胞内局在の変化を見た。またこの変化について初期エンドソームマーカー:EEA1、後期エンドソームおよびリソソームマーカー:LAMP1、ゴルジ体マーカー:GM130、小胞体マーカー:カルネキシンおよびBip、オートファゴソームマーカー:LC3を用いて共焦点蛍光顕微鏡を用いて解析できた。結果の一部は「歯周病細菌によるヒト肝細胞株への細胞侵入と脂肪滴形成への影響」と題して大阪で開催された第19回日本病態プロテアーゼ学会(2014、8月)にて発表を行った。

今後の研究の推進方策

典型的細胞内寄生細菌とP. gingivalisとの動物細胞側の相同点・相違点を明らかする
細胞内寄生細菌であるブルセラ菌やレジオネラ菌は、宿主細胞と細菌との相互作用に関する研究が進んでいる。そこで、これらの細菌に関する情報を参考にして解析を進める。ブルセラ菌は人獣共通感染症を引き起こすグラム陰性桿菌である。細胞内に取り込まれると、初期エンドソーム内に輸送される。その後、多重膜構造をもつオートファゴソーム様構造物を形成する。メンブレントラフィックを制御する分子としてRab7, LAMP1, RILPなどが報告されている。さらにカルネキシン、カルレティキュリンなどの小胞体タンパク質も関与すると考えられている。一方、レジオネラ菌も、オートファゴソーム様構造物内で増殖することが知られている。Rab1 、Atg9、カスパーゼ11などが関与すると報告されている。これらの知見に基づき、これらの遺伝子がP. g ingivalis 感染にも関与するかどうかを明らかにする。(担当:筑波、岡元)
A.RT-PCR、ウエスタンブロッティングによる遺伝子の変化:Rab7, LAMP1, RILPカルネキシン、カルレティキュリン、Rab1 、Atg9、カスパーゼ11について、mRNAレベルおよびタンパク質レベルでの変化があるかどうかを検討する。
B.遺伝子ノックダウンによる解析:上記の遺伝子に変化が認められれば、siRNAによる遺伝子ノックダウンあるいは遺伝子導入による強制発現実験により、P. gingivalis の細胞内生存・増殖に影響が出るかどうかの検討を行う。
C.P. gingivalis が分泌する病原性タンパク質と宿主細胞タンパク質との相互作用:ブルセラ菌やレジオネラ菌はIV型分泌装置をもち、この装置を介して何らかの因子・毒素を分泌し、これがオートファゴソーム様構造物を誘導すると考えられている。

次年度使用額が生じた理由

実験の試薬代が予想よりも少なくて済んだため。

次年度使用額の使用計画

来年度に使用予定

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (10件)

  • [雑誌論文] Inhibitory effects of tert-butylhydroquinone on osteoclast differentiation via up-regulation of heme oxygenase-1 and down-regulation of HMGB1 release and NFATc1.2014

    • 著者名/発表者名
      Yamaguchi Y, Sakai E, Sakamoto H, Fumimoto R, Fukuma Y, Nishishita K, Okamoto K, Tsukuba T
    • 雑誌名

      J Appl Toxicol

      巻: 34 ページ: 49-56

    • DOI

      10.1002/jat.2827.

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Defective adipose tissue development associated with hepatomegaly in cathepsin E-deficient mice fed a high-fat diet.2014

    • 著者名/発表者名
      Kadowaki T, Kido MA, Hatakeyama J, Okamoto K, Tsukuba T, Yamamoto K
    • 雑誌名

      Biochem Biophys Res Commun

      巻: 446 ページ: 212-217

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2014.02.089.

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Repression of cathepsin E expression increases the risk of mammary carcinogenesis and links to poor prognosis in breast cancer.2014

    • 著者名/発表者名
      Kawakubo T, Yasukochi A, Toyama T, Takahashi S, Okamoto K, Tsukuba T, Nakamura S, Ozaki Y, Nishigaki K, Yamashita H, Yamamoto K
    • 雑誌名

      Carcinogenesis

      巻: 35 ページ: 714-726

    • DOI

      10.1093/carcin/bgt373.

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Rab27Aは破骨細胞の多核化とリソソーム機能を制御する2014

    • 著者名/発表者名
      菅原めぐみ,坂井詠子,福間裕,西下一久,岡元邦彰,福田光則,泉哲郎,吉田教明,筑波隆幸
    • 学会等名
      第87回日本生化学会大会合同大会
    • 発表場所
      福岡県・福岡市・福岡国際会議場
    • 年月日
      2014-10-15 – 2014-10-18
  • [学会発表] Nrf2遺伝子欠損マウスにおける酸化ストレスと骨代謝2014

    • 著者名/発表者名
      坂井詠子,山口優,福間裕,菅原めぐみ,西下一久,岡元邦彰,筑波隆幸
    • 学会等名
      第87回日本生化学会大会合同大会
    • 発表場所
      京都府・京都市・京都国際会議場
    • 年月日
      2014-10-15 – 2014-10-18
  • [学会発表] 破骨細胞における膜動態と細胞骨格制御に関与するタンパク質の解析2014

    • 著者名/発表者名
      岩竹真弓,岡元邦彰,筑波隆幸
    • 学会等名
      第87回日本生化学会大会合同大会
    • 発表場所
      京都府・京都市・京都国際会議場
    • 年月日
      2014-10-15 – 2014-10-18
  • [学会発表] コバルトプロトポルフィリンの破骨細胞分化および活性化に対する影響2014

    • 著者名/発表者名
      八島由佳,岡元邦彰,坂井詠子,西下一久,筑波隆幸
    • 学会等名
      第56回歯科基礎医学会学術大会
    • 発表場所
      福岡県・福岡市・福岡国際会議場
    • 年月日
      2014-09-25 – 2014-09-27
  • [学会発表] Nrf2 遺伝子欠損マウスにおける酸化ストレスと破骨細胞分化2014

    • 著者名/発表者名
      坂井詠子,福間裕,菅原めぐみ,西下一久,岡元邦彰,筑波隆幸
    • 学会等名
      第56回歯科基礎医学会学術大会
    • 発表場所
      福岡県・福岡市・福岡国際会議場
    • 年月日
      2014-09-25 – 2014-09-27
  • [学会発表] 破骨細胞の分化抑制に関するエラジタンニン類の作用メカニズムの解明2014

    • 著者名/発表者名
      岩竹真弓,坂井詠子,西下一久,岡元邦彰,筑波隆幸
    • 学会等名
      第56回歯科基礎医学会学術大会
    • 発表場所
      福岡県・福岡市・福岡国際会議場
    • 年月日
      2014-09-25 – 2014-09-27
  • [学会発表] 破骨細胞におけるポドソームの形成に関与するタンパク質の同定とその機能解析2014

    • 著者名/発表者名
      岩竹真弓,岡元邦彰,筑波隆幸
    • 学会等名
      第56回歯科基礎医学会学術大会
    • 発表場所
      福岡県・福岡市・福岡国際会議場
    • 年月日
      2014-09-25 – 2014-09-27
  • [学会発表] 破骨細胞の多核化とリソソーム機能を制御するrabタンパク質の同定2014

    • 著者名/発表者名
      菅原めぐみ,坂井詠子,福間裕,西下一久,岡元邦彰,吉田教明,筑波隆幸
    • 学会等名
      第56回歯科基礎医学会学術大会
    • 発表場所
      福岡県・福岡市・福岡国際会議場
    • 年月日
      2014-09-25 – 2014-09-27
  • [学会発表] 破骨細胞における細胞骨格を制御するタンパク質の同定と機能の解明2014

    • 著者名/発表者名
      岩竹真弓,岡元邦彰,筑波隆幸
    • 学会等名
      第19回日本病態プロテアーゼ学会
    • 発表場所
      大阪府・豊中市・千里ライフサイエンスセンター
    • 年月日
      2014-08-08 – 2014-08-09
  • [学会発表] 歯周病細菌によるヒト肝細胞株への細胞侵入と脂肪滴形成への影響2014

    • 著者名/発表者名
      財津有末,岩竹真弓,坂井詠子,岡元邦彰,佐藤啓子,中山浩次,筑波隆幸
    • 学会等名
      第19回日本病態プロテアーゼ学会
    • 発表場所
      大阪府・豊中市・千里ライフサイエンスセンター
    • 年月日
      2014-08-08 – 2014-08-09

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公開日: 2016-06-01  

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