研究課題/領域番号 |
25293384
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研究機関 | 神奈川歯科大学 |
研究代表者 |
畑 隆一郎 神奈川歯科大学, 歯学研究科(研究院), その他 (10014276)
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研究分担者 |
前畑 洋次郎 神奈川歯科大学, 歯学研究科(研究院), 講師 (80410009)
居作 和人 神奈川歯科大学, 歯学研究科(研究院), 講師 (90257296)
宮本 千央 神奈川歯科大学, 歯学研究科(研究院), 研究員 (50633963)
赤坂 徹 神奈川歯科大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (60316263)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 転移抑制 / ケモカイン / CXCL14 / 癌抑制分子 |
研究実績の概要 |
生体内における癌の増殖抑制•転移抑制において、ナチュラルキラー(NK)細胞が重要な働きをしている間接的データーは多くあるが、生体内におけるNK細胞による癌抑制の分子機構は不明である。申請者は野生型C57BL/6(Wt)及びケモカインCXCL14/BRAK(BRAK)を過剰に発現するトランスジェニック(Tg)マウスを用いて、BRAKの発癌、移植癌の増殖、及び転移に対する作用、特にナチュラルキラー(NK)細胞とNKT細胞の関与を解析した。 アゾキシメタン処理後デキストラン硫酸ナトリウムを飲料水に加えることにより大腸癌を発生させるとTgマウスの発癌率はWtマウスの1/10以下であり、また、Tgマウスの大腸においてNKT細胞の集積が見られた。黒色腫細胞、ルイス肺癌細胞の皮下移植癌の増殖はTgマウスではWtマウスに移植した場合より有意に抑制された。マウスにあらかじめ抗アシアロGM1 抗体を注射してNK細胞活性を除去すると、移植腫瘍の増殖はWt ,Tgマウスで共に大きく促進されたが、1ヶ月後の腫瘍の大きさはTgマウスの方がWtマウスの場合より小さかった。 黒色腫細胞、ルイス肺癌細胞を尾静脈より注入し肺転移への作用を調べると、TgマウスでWtマウスより転移数は抑制された。抗アシアロGM1 抗体で前処理した場合も、抗NK 1.1抗体で前処理し、NK細胞、NKT細胞を除去した場合も黒色腫細胞の肺への転移数は増大したが、Tgマウスにおける転移数はWtマウスの場合より少なかった。さらにαガラクトシルセラミドでマウスを前処理した後に黒色腫細胞を注入すると、Tgマウスでは転移数がさらに減少した。 結論: CXCL14/BRAK Tgマウスを用いた実験により、BRAKの高発現は発癌、移植癌の増殖、肺転移のすべての段階を抑制し、この抑制作用にNK細胞NKT細胞が関与しているが、さらにBRAKには別の機構が存在することが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CXCL14/BRAKトランスジェニックマウスを用いてCXCL14/BRAKの、発癌抑制、移植癌の増殖抑制、及び転移抑制におけるナチュラルキラー(NK)細胞およびNKT細胞の機能を明らかにすることが出来、副作用のない腫瘍抑制法の開発に向けて一歩を進めることが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
CXCL14/BRAKのがんの転移抑制の分子機構について、培養系とマウスを用いた実験系で研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
試薬の割引があったため。
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次年度使用額の使用計画 |
試薬の購入に使用する。
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