研究概要 |
失活歯の歯根破折は,歯科臨床において解決すべき重要な課題である.申請者らは,これまで加熱 や紫外線といった物理刺激,あるいは架橋材による化学処理にて象牙質の機械的強度が飛躍的に 向上することを発見し,この知見をもとに失活歯の破折防止のための歯の強化法の開発に取組んできた.本研究課題では,これまでに強化効果が認められた加熱, 紫外線および架橋材(水溶性カ ルボジイミド)を最適条件で組合せて処理することで, 象牙質の機械的強度が最大となる条件を 確定し,その際に象牙質の無機成分および有機成分に起こる微細構変化を検索することで強化 メカニズムの詳細を明らかにすることを目的としている. 平成 25年度は, それらのうち加熱と紫外線の複合効果について詳細に検索したところ、110~140°Cで5-10分象牙質を加熱しながら, 365~405nm の波長の紫外線を 5-15 分照射 するる ことによって, 曲げ強さは加熱および紫外線前と比較して最大 3 倍高くなる ことを発見した. さらに, その強化メカニズムは, X線回折により加熱によってコラーゲンのトリプルへリ ックスの分子間距離が 14オングストロームから11オングストロームへ約30 収縮するとともに、長波長の紫外線によりコラーゲンからラジカルが発生する事で、分子間に水素結合や水分子を介した分子間結合が形成されるとこにより強化につながっていることを明らかにした。加熱と紫外線の相乗効果で、より象牙質を効果的に強化できる事が明らかになった。
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