研究課題/領域番号 |
25293388
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
前田 英史 九州大学, 大学病院, 講師 (10284514)
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研究分担者 |
赤峰 昭文 九州大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (00117053)
和田 尚久 九州大学, 大学病院, 講師 (60380466)
門野内 聡 九州大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (30609558)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 4-META-MMA-TBBレジン / ヒト歯根膜細胞 / ナノハイドロキシアパタイト / カルシウム |
研究実績の概要 |
昨年度の結果において、カルシウム添加型の4-META-MMA-TBBレジンが硬組織形成に有効であることを示したため、今年度では、カルシウム、粒径がマイクロサイズのマイクロハイドロキシアパタイト、または粒径がナノサイズのナノハイドロキシアパタイト添加または無添加型4-META-MMA-TBBレジンのディスクを作製し、未分化なヒト歯根膜細胞株と共培養した。その結果、カルシウム、マイクロハイドロキシアパタイト、またはナノハイドロキシアパタイトを添加した群で、歯根膜マーカー(Periostin)、骨・セメント質マーカー(Osteocalcin, BSP, CAP, CP23)ならびに靱帯マーカー(SCX)の遺伝子発現が亢進した。中でもナノハイドロキシアパタイト添加群では、濃度依存性にBSPの発現が促進し、カルシウム添加群よりも高いことが明らかになった。 またこの培養系に、以前我々が、歯根膜組織の治癒に影響することを報告しているGDNFを添加し、その影響について解析を行ったが、上記遺伝子発現に有意な影響は認められなかった。 さらに初代ヒト歯根膜細胞用いて同様の実験を行った結果、ほぼ同様の結果が得られた。これより、上記添加型レジンは、歯根膜細胞の分化段階にかかわらず、歯根膜関連遺伝子発現誘導能作用があることが示唆された。 次に、これらの歯質接着性について、引っ張り試験を行った結果、カルシウムおよびマイクロハイドロキシアパタイト添加群は、無添加群よりも有意に強さが低下したのに対し、ナノハイドロキシアパタイト添加群は、無添加群とほぼ同等の接着力を示すことを明らかにした。 以上より、ナノハイドロキシアパタイト添加型のレジンは、他の実験群と比較して歯質接着性を有し、歯周組織に関連した遺伝子発現を促進する機能があることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初は、未分化な歯根膜細胞株だけではなくを用いる予定であったが、iPS細胞も用いて上記実験を進める予定であったが、上述したように、歯根膜細胞の分化段階にかかわらず、同様の結果となったことから、iPS細胞を用いる明確な意義が不明瞭となったことによる。しかしながら、本研究では、有効な足場材の開発を目的としており、今後材料の特性について進めることとした。
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今後の研究の推進方策 |
ナノハイドロキシアパタイト添加型レジン水中への長期浸漬ならびに温度変化による物性試験、さらにラット脛骨または顎骨内への填入後の組織親和性ならびに周囲に歯根膜様組織形成能について解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
蛍光実体顕微鏡の購入を検討していたが、候補機種を用いて、ハイドロキシアパタイトまたはカルシウム添加型レジンを観察したところ、自家蛍光が強く出現することが明らかとなり、購入を控えたため。
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次年度使用額の使用計画 |
上記レンジ上で、蛍光観察が行える機種またはその実験をカバー可能な機種について検討し、研究の遂行に支障が生じないようにする。
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