研究課題
4-META/MMA-TBB レジン(SB)に種々の重量濃度で塩化カルシウム(Ca/SB)またはナノハイドロキシアパタイト(nHAP/SB)を添加した後、直径1.5ミリ、高さ1.5ミリの円柱を作製した。この円柱上に、ヒト歯根膜幹細胞シートを貼り付けたものを人工歯根として、免疫不全ラットの抜歯窩に埋入した。免疫不全ラットは、上顎両側の第1臼歯を抜歯後、抜歯窩の治癒に4週間要することを予備実験で確認した。4週間後、90号から140号までのK-ファイルを用いて、抜歯後の骨に径1.6ミリ、深さ1.6ミリ程度の骨窩洞を作製し、上記の人工歯根を埋入した。対照群にはレジン円柱のみを埋入した。埋入して4週間後に、屠殺・固定して組織学的に解析を行った。その結果、細胞シートを貼り付けた群において、円柱の表面に硬組織が一部形成され、同部位にマッソントリクロームに強陽性の密な線維組織からなる構造物の形成を認めることが出来た。特に、10%nHAP/SBおよび30%nHAP/SBよりも、10%Ca/SBにおいて硬組織の形成量が多いことが明らかになった。しかしながら、硬組織の厚みが薄く、さらに硬組織中に嵌入する、いわゆるシャーピー線維の顕著な形成は確認できなかった。加えて、新生された硬組織は、骨とセメント質の区別をつけることは困難なものであったが、本研究で人工歯根の支柱として作製したCa/SBは、歯根膜幹細胞があれば、硬組織形成を含めた歯周組織形成の足場材となりうる可能性が示唆された。したがって、臨床への応用も視野に入れる道筋となる結果が得られたと考えている。一方、免疫不全ラットを用いた実験系では、ラットの顎骨の厚みが円柱のサイズに対して浅く、円柱が顎骨内に固定させることが解剖学的に困難であり、個体数が必要であった。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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