研究課題/領域番号 |
25293389
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
横山 敦郎 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (20210627)
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研究分担者 |
赤坂 司 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (00360917)
山本 悟 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (10344524)
平田 恵理 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (10722019)
滝田 裕子 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (30125330)
佐藤 義倫 東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (30374995)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | カーボンナノホーン / マクロファージ / 骨形成 / チタン / 生体材料 |
研究実績の概要 |
本年度は、カーボンナノホーン(CNHs)がマクロファージを介して骨形成に与える影響、CNHsのチタンへの表面修飾、CNHsのラット体内での臓器移行について検討した。 CNHsをヒトマクロファージ培地に添加し、ヒト骨髄間質細胞と共培養を行い、TEM観察を行うとともに、アルカリフォスファターゼ(ALP)活性を測定した。培養24時間後ではCNHsはマクロファージに貪食されていたが、骨髄間質細胞内には観察されなかった。ALP活性は、CNHsを添加した場合に有意に高い値を示したことから、CNHsを貪食したマクロファージが骨髄間質細胞の分化に関与していることが示された。 カルボキシル基を付与したCNHsを無水エタノールに分散(CNHs分散液)した。サンドペーパーにて研磨したチタン板を対極とともにCNHs分散液中に固定し、直流電源・定電流下(300V ,30mA/cm2)にて泳動電着を行い、SEM観察を行うとともに、骨芽細胞様細胞を培養した。CNHsは、チタン板上にほぼ均等に修飾され、良好に付着進展していることが示され、CNHsのチタンへの修飾の可能性が示唆された。 Gdnを内包したCNHsを固着したPTFE膜を用いてラット頭頂骨に作成した骨欠損部を被覆し、CNHsの臓器移行をGdnを計測することにより解析した。手術1日後から半年のいずれの期間においても、Gdnは頭頂骨以外では検出されず、CNHsを局所応用した場合は、全身の各臓器には移行せず、その安全性が示された。 以上の研究結果から、骨形成を目的とした生体材料へのCNHsの応用の可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
カーボンナノマテリアル、特にカーボンナノホーン(CNHs)のマクロファージを介した骨形成への関与をマクロファージと骨髄間質細胞の共培養により解明するシステムを構築するとともに、CNHsのチタンへの表面修飾の方法を開発した。さらにCNHsの生体材料としての局所応用における安全性を示したことから、ほぼ順調に研究は進捗していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、カーボンナノマテリアルの骨形成への関与をタンパクレベル、遺伝子レベルで明らかにするとともに、チタンへの表面修飾の条件をさらに改良し、細胞培養、動物実験で、その有用性を明らかにする。また、実際のデンタルインプラントに修飾し、大型動物を用いて組織学的検索を行い、臨床応用への可能性を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
遺伝子レベルでの解析を行う予定であったが、条件設定に時間を要したため、解析を行っていないため、当初予定の使用額と差が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
カーボンナノマテリアルの骨形成への関与を遺伝子レベルで解析する。
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