研究課題/領域番号 |
25293392
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
石垣 尚一 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (40212865)
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研究分担者 |
矢谷 博文 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (80174530)
加藤 隆史 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 講師 (50367520)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 顎口腔機能学 / 慢性痛 / 顎関節症 / 睡眠障害 / 概日リズム |
研究実績の概要 |
治療に反応しにくい慢性筋痛を有する顎関節症患者においては,疼痛の中枢性過敏化が生じ,慢性疼痛疾患においても疑われている睡眠障害や概日リズムの障害が伴っていることが考えられる.このことは,睡眠時ブラキシズムとともに,慢性筋痛患者の疼痛強度の増大や変動に影響を及ぼしていると思われるが,これまでに詳細な検討は行われていない.そこで,慢性筋痛を有する顎関節症患者を対象とし,自宅という日常の環境下で14日間にわたり,睡眠時咀嚼筋筋活動,睡眠状態,および概日リズムを記録し,これらがストレスやライフスタイル等も含めたさまざまな要因とともに慢性筋痛における疼痛強度の変動や増大にどのように影響を及ぼすのかを共分散構造解析手法により明らかにすることを目的とした. 平成26年度には,構築された記録,分析システムを用い,16名の被験者を対象として以下の計測を行った.総睡眠時間および身体活動数の測定にはアクチグラフを用いた.装置は被験者の非利腕に装着させ,14日間の昼夜連続測定を行った.被験者には測定期間中の毎日,質問票への記入を行わせた.患者の主観的な疼痛強度の記録にはVisual Analogue Scale(以下 VAS)を用い,顎の痛みは起床後から3時間ごとに記録させた.前夜の熟睡度は,起床時に VASを用いて記録させた.睡眠・覚醒状態,身体活動状態および前日の顎の痛みが顎の痛みに及ぼす影響についての分析には混合効果モデルを使用した. 前日の身体活動量が多いと顎の痛みが小さくなること,前日の熟睡度が高いと顎の痛みが小さくなること,前日の顎の痛みが強いと当日の顎の痛みも強くなることが示された.以上の結果より,睡眠不良および身体活動低下は顎の慢性痛のリスク因子である可能性が示された.引き続きデータの収集に努め,睡眠および身体活動量が顎の慢性痛に及ぼす影響を明らかする予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現時点において,統計解析が可能な被験者数が確保でき,平成27年度にも引き続き協力が得られる被験者を確保できる見込みであるため.
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度には,引き続き被験者からのデータ収集作業を進め,統計解析をさらに進め,学会発表および論文投稿を行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
データ収集準備作業のため,謝金支払を伴わない被験者(研究代表者や研究協力者)を用いたことにより,平成25年度に次年度使用額が生じたこと,および,協力が得られた患者数が予定より少なかったため,おもに謝金として計上した金額に差額が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度には,謝金支払が伴う被験者からのデータ記録の増加が見込まれるため,平成27年度に予定通り使用いたします.
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