本研究の目的は睡眠・覚醒状態および日中の身体活動状態が咀嚼筋の慢性痛に及ぼす影響を明らかにすることである.分析には混合効果モデルを用いた. 前日の熟睡度は顎の痛みに有意に影響していた.前日の身体活動量も顎の痛みに有意に影響していた.前日の顎の痛みは翌日の顎の痛みに有意に影響していた.すなわち,前日の熟睡度が低いと,あるいは前日の身体活動量が少ないと,あるいは前日の顎の痛みが強いと顎の痛みが強くなることが示された. 以上のように睡眠および身体活動量は咀嚼筋の慢性痛の程度に密接に関係しており,個体差治療を進める上で睡眠状態および身体活動状態を評価することの有用性が示された.
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