研究課題
我々は,疫学研究から,これまでに,従来言われてきた歯周病とは独立して,咬合状態が循環器系疾患や認知機能と関連のあることを疫学的研究で示した.これには,どちらか一方が他方に影響を与えていることや,両者に共通の環境要因や遺伝要因があることが考えられる.今回は,歯数や歯周病と循環器系疾患や認知機能との関係のを明らかにするため,歯の状態と心血管系疾患ならびに認知症,またそれら疾患の候補遺伝子との関係を分析した.遺伝子解析の同意の得られた兵庫県伊丹市,朝来市在住の70歳,80歳の計1855名を対象とした.動脈硬化関連遺伝子ACE,ACE,RGS2の一塩基多型(SNP),老化関連遺伝子KlothoのSNP,高血圧関連遺伝子CASZ1,CSK,ATP2B1のSNP,長寿・メタボリックシンドローム関連遺伝子ADAR遺伝子のSNP,認知症関連遺伝子のAPOE,TOMM40,BDNF-AS,BLMHのSNIPをTaqMan PCR法により決定した.その結果,残存歯数は高血圧,糖尿病,認知機能といずれも有意な関連がみられた.また,平均歯周ポケット深さは,高血圧ならびに認知機能と有意な関連がみられた.一方,BDNF-AS,BLMHと歯数,ならびにCSK,RGS2,BDNF-ASと平均歯周ポケット深さとの間に,有意な関連がみられた.一般線型モデルによる分析の結果,高血圧,認知機能を従属変数とした場合,歯数ならびに歯周ポケット深さに交互作用は見られなかった.以上の結果より,歯数や歯周病と循環器系疾患や認知機能との間には,共通の遺伝素因があることが示唆された.
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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JDR Clinical & Translational Research
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