研究課題/領域番号 |
25293399
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小笠原 康悦 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (30323603)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | アレルギー・ぜんそく |
研究実績の概要 |
金属装飾品をつける人の割合の増加ならびに医療の進歩による生体金属材料の利用により、金属アレルギーは増加傾向にある。金属は、材料学的特性からも扱いやすく、歯科領域では、差し歯や銀歯とよばれる補綴治療をはじめとして金属が使用され、患者のQOLを高めてきた。しかしその一方で、金属によるアレルギー性皮膚炎が誘導される場合が報告されてきた。 そこで本研究は、申請者が開発した動物実験モデルを用いて、金属アレルギーについてその発症の分子機構を明らかにし、新規診断・治療法の開発へ向けた理論的基盤を確立することを目的としている。 これまで、金属アレルギー動物モデルを用いて、NK細胞、NK受容体に着目して研究を進めてきた。我々は、NK細胞が抗原提示細胞と接触することで、NK細胞がMHCクラスIIを奪い取ること、MHCクラスIIを奪い取ったNK細胞は、MHCクラスIIを細胞表面に表出し機能することが明らかとなった。そしてそのMHCクラスII陽性NK細胞は、免疫機能を抑制的に調節し、アレルギーを抑制する機能をもつことが判明した。 さらに、本年度は、マーモセットNK細胞の検出を試みた。マーモセットは霊長類でありその有用性は一般に認められているものの、免疫学的解析ツールが少ないため、研究が進んでいない。そこでマーモセット血液細胞から比重遠心法にてリンパ球分画と考えられる細胞を単離して、RNA抽出、cDNA合成を通法をもちいて行った。そして、データベースをもとにNKG2D塩基配列のクローニングをPCR法をもちいて行い、クローニングに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
金属アレルギーにおけるNK細胞の関与について独自に開発した動物実験モデルを利用して明らかにすることができた。具体的には、NK細胞が抗原提示細胞と接触することで、NK細胞がMHCクラスIIを奪い取ることを発見した。そして、そのMHCクラスII陽性NK細胞は、アレルギーを抑制する機能をもつことを明らかにすることができた。また霊長類であるマーモセットの免疫解析ツールの1つとしてNKG2D遺伝子のクローニングに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
マーモセットの免疫解析ツールとして、マーモセットNKG2Dと免疫グロブリンの定常領域部分を結合させた、マーモセットNKG2D免疫グロブリンキメラタンパク質を作成する。また、マーモセットNKG2Dリガンドの遺伝子クローニング、および、マーモセットNKG2D発現遺伝子導入細胞、NKG2Dリガンド発現遺伝子導入細胞を樹立する。 またマウス金属アレルギー動物実験モデルを利用して、NKG2Dリガンドの発現について詳細に検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額は、当初計画していた動物実験を次年度に延期することによって生じたものであり、次年度以降に実施する動物実験に必要な経費として、平成27年度請求額と合わせて使用する予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
物品費ならびに研究費所の謝金等人件費に使用し研究成果を挙げるとともに、旅費、その他の費用を用いて、学会および専門誌にて研究の成果発表を行う。
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