研究課題/領域番号 |
25293403
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
平田 伊佐雄 広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 助教 (40346507)
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研究分担者 |
金輪 真佐美(福永真佐美) 広島大学, 自然科学研究支援開発センター, 助教 (00284208)
加藤 幸夫 広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 研究員 (10112062)
加藤 功一 広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 教授 (50283875)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 再生医学 / 表面・界面物性 / 細胞・組織 / 間葉系幹細胞 / ナノ薄膜 |
研究実績の概要 |
本研究は、以下の四段階を経て、骨分化能を有する細胞の培養および分化に最適かつ化学規定化された表面状態を求める。Ⅰ:ナノレベルで制御された化学規定化モデル表面の作製Ⅱ:化学規定化モデル表面の表面分析Ⅲ:化学規定化モデル表面上での生体分子相互作用のリアルタイム解析Ⅳ:化学規定化モデル表面上での細胞増殖・分化能の検討。平成26年度はⅢ・Ⅳを中心にした研究を開始した。 Ⅰ・Ⅱに関して、本研究では金蒸着ガラス基板をモデル表面の基材としている。新規に購入した真空蒸着装置により、金蒸着後速やかに表面処理が行え、表面処理の操作性及び作成した膜の品質が向上した。このことよりⅢの研究において、無血清培地含有タンパク質のモデル表面間での吸着過程を厳密に測定することができ、モデル表面組成と吸着タンパクの関係及び細胞接着能への影響を評価することができた。また、新規に購入した真空蒸着装置により、金蒸着ガラス基板のサイズの大型化に成功した。これは、Ⅳの研究において、培養細胞の遺伝子発現を調べる実験において、回収核酸量の大幅な増加による測定精度の向上を果たすことができた。これより以下の興味深い結果を得ることができた。 間葉系幹細胞(MSC)の培養に適した無血清培地及びモデル基板において、増殖過程における遺伝子発現を、DNAマイクロアレイを用いた網羅的遺伝子発現解析法を用いて行い、得られた結果を遺伝子オントロジー(GO)解析を行ったところ、電子伝達系と酸化的リン酸化が抑制されていることがわかった。これはミトコンドリアの活性が抑制されていることを示し、普通は細胞増殖能も抑制される。しかしながら、この培養系においてはMSCの増殖能が向上することより、他の代謝系が活性されている可能性を示した。そこで、網羅的メタボローム解析を行ったところ、TCAサイクルの抑制及び解糖系の活性化が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新規に購入した真空蒸着装置の導入により、平成26年度実施予定であった、Ⅲ・Ⅳに関して、平成25年度において一部前倒しで研究を開始することができた。だが、平成26年度は当研究室主催の学会の準備が2件及び、研究室の移転が重なったため、研究の進展が遅くなった。これら研究遂行に関する正と負の状況を重ね合わせて鑑みて、平成26年度の達成度は(2)おおむね順調に進展している、と自己評価する。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の変更は特に必要はなく、研究遂行に対する課題も、現時点では発生していない。そのため科研申請書の通り、平成27年度はⅢ:化学規定化モデル表面上での生体分子相互作用のリアルタイム解析Ⅳ:化学規定化モデル表面上での細胞増殖・分化能の検討について、平成26年度に引き続き遂行していく。
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