本研究において、CL/P患児由来SHEDでは、ERK1/2のリン酸化の亢進が原因で、その骨再生能力を抑制している事が判明した。ERK1/2リン酸化の亢進は、その脱リン酸化酵素DUSP4/DUSP6の遺伝子プロモーターのヒストン脱メチル化が進行しているためであった。ERK1/2のリン酸化の亢進を阻害する事で、CL/P患児乳切歯由来SHEDの骨再生能力が賦活化され、骨欠損部での骨再生に有益な細胞にレスキューされた。したがって、将来、CL/P患児乳切歯SHEDを保存し、ERK1/2のリン酸化亢進を阻害した自家SHEDを用いて、CL/P患児の顎骨欠損治療に応用する再生医療学体系の確立が期待できる。
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