研究課題/領域番号 |
25293406
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
北川 善政 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (00224957)
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研究分担者 |
山崎 裕 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (90250464)
玉木 長良 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30171888)
犬伏 正幸 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (70399830)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 分子イメージング / 核医学(PET) / FMISO / 低酸素 / 治療抵抗性 / 口腔癌 / 臨床研究 / 動物モデル |
研究概要 |
低酸素応答イメージングを可能にする樹立した担癌マウスモデルに対して、異なる3つの酸素条件(21%O2:正常酸素、10%O2:12時間、80%O2:24時間) を負荷した後、99mTcO4- (各群n=8)、I-124 (各群n=6)を投与し、低酸素応答イメージングを行った。低酸素群における腫瘍の99mTcO4-集積(SUVmax)は、正常酸素群(2.3±0.7 vs 1.2±0.2, p<0.05)、過剰酸素群(2.3±0.7 vs 0.9±0.1, p<0.001)に対して有意に高値を示した。I-124によるPETイメージングの結果においても、同様の結果が得られた (低酸素群2.5±0.2 vs 正常酸素群1.4±0.3, p<0.05、低酸素群2.3±0.7 vs 過剰酸素群1.1±0.2, p<0.001) 。以上から、腫瘍への各トレーサーの取り込みは、酸素濃度の低下に応じて、増加していることが明らかになった。 口腔癌におけるFMISO-PETの集積と組織学的悪性度の関連:低酸素状態を示す口腔癌は化学療法に抵抗性を有することが明らかになったが、低酸素状態の癌が予後不良を示すのは、癌細胞自体の悪性度が増加することも一因だといわれている。そこで、口腔癌23例の切除標本中の細胞増殖マ-カ-(Ki-67) の発現とFMISO-PETの集積を比較・検討した。6/23例(26%)の口腔扁平上皮癌組織内にKi-67が高発現していた。FMISO-PETの集積はKi-67の発現を予測する有意な独立因子であった(P=0.04)。以上から、低酸素状態を示す口腔癌は組織学的悪性度が増加していることが初めて示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究により多くのデータが得られた。研究成果を比較的多数の学会発表のみならず一流雑誌に論文として発表できた。
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今後の研究の推進方策 |
1)低酸素応答領域の特定:各低酸素PETトレーサーの集積領域から、低酸素応答領域を特定する。これにより、化学療法や放射線治療、特に局所照射治療(dose-dependent radiation)の治療方針への臨床応用に繋げる。 2)治療抵抗性獲得メカニズムの解明:癌幹細胞は治療抵抗性と密接に関連しているという報告があるが、詳細は不明である。低酸素応答領域と癌幹細胞との関係を詳細に調べ、癌幹細胞イメージングあるいは、治療抵抗性イメージングへと発展させる。 3) 平成25年度同様、口腔癌患者に対し放射線化学療法前後でFDG-PET、FMISO-PETを撮影、症例を蓄積する。 4) 治療前の生検材料から病理組織学的、免疫組織化学的解析と血清中の各種マーカーによる診断を行う。PETと病理組織学的、免疫組織化学的データとの相関、FDG-PETとFMISO-PETのデータを蓄積し、臨床病理学的パラメーター、臨床効果判定、組織学的効果判定や病理組織学的、免疫組織化学的解析と血清中の各種マーカーで得られたデータとの関係を統計学的に詳細に分析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
予定していた研究に対し、研究費の使用額を抑えて遂行できた為。 研究の更なる進展のため、次年度で一括し使用する。
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