研究課題
本研究の全体構想は幹細胞培養上清の適用法を工夫することにより,延長装置を用いることなく,骨延長に匹敵する大量の骨再生を可能にし,これにより顎骨区域欠損の再建を目指すものであった.本年度の研究は培養条件による培養上清中の成分の変化と適応となる組織欠損の探索,およびその機序の解明を中心に推進した.骨髄間葉系幹細胞,歯髄幹細胞の培養上清を質量分析法で詳細に調べたところ,さまざまな成長因子や細胞外マトリックスが含まれ,これらには血管新生能,細胞接着能,細胞遊走能だけでなく,抗炎症作用,抗アポトーシス作用を有する成分が含まれていること,低酸素濃度の培養条件下では血管新生に関与する因子が増加することが明らかになった.また生体における培養上清の骨形成作用を薬剤関連顎骨壊死モデル,骨区域欠損モデルなどで示すことができ,この作用が低酸素条件培養上清ではさらに促進されることがわかった.チタン製インプラント表面やポリ乳酸グリコール酸共重合体膜に大気圧プラズマや水酸化ナトリウムで親水化処理を施すことにより培養上清中の成分の付着量が増し,その周囲の骨形成が著しく促進されることを示した.これらの骨形成の過程は,培養上清に含まれる血管形成に関係する因子が組織欠損部で作用し,まず血管網が構築されるところから始まることを示した.本研究の知見は培養上清による組織再生機序の一部を解明するだけでなく,今まで取り組んできた一連の研究による知見を補完し,組織再生の仕組みを体系化するうえで有意義であると考える.
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (13件) (うち国際共著 1件、 査読あり 13件、 オープンアクセス 5件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 2件)
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