研究課題/領域番号 |
25293409
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
古郷 幹彦 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (20205371)
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研究分担者 |
田中 晋 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (00367541)
宮川 和晃 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (50635381)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 口腔感覚 / 三叉神経 / 摂食促進ペプチド |
研究実績の概要 |
本研究では、味覚・嗅覚上方の低下が、咀嚼運動さらには三叉神経系ニューロン群の神経活動特性へ如何なる影響を及ぼすのかを検討する。本年度は味覚・嗅覚障害が三叉神経系ニューロン活動特性に与える影響について検討を行った。妊娠後期(E15~)Wistar系ラットを亜鉛欠乏飼料で飼育して出生した新生仔ラット(P3-17)を用いて三叉神経系ニューロンを含む冠状スライス標本を作製し、ホールセルパッチクランプ法を用いて、三叉神経中脳路核ニューロンから活動を記録した。 1.亜鉛欠乏飼料で飼育した新生仔ラットは標準飼料で飼育した場合と比較して体重増加は減少する傾向が観察された。基本膜特性についても標準飼料群と比較して膜容量は減少、静止膜電位は脱分極する傾向がみられた。 2.単一活動電位誘発にてspike heightは軽度増大する傾向が観察されたが、活動電位後過分極(AHP)については標準飼料群と有意な差を認めなかった。 3.連続発火活動(repetitive firing activity)誘発にて亜鉛欠乏飼料群では標準飼料群と比較してスパイク活動周波数は有意に上昇した。また活動誘発に必要な基電流値も有意に低値を示した。 4.OrexinやNPYなど摂食促進作用を有する神経ペプチドを三叉神経系ニューロンに作用させた際にみられる膜興奮性の増大作用については、亜鉛欠乏飼料群においても同様に観察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度予定されていた味覚障害モデル動物でのニューロン活動特性変化については概ね予定通り進行しているが、嗅覚障害モデル動物を用いた研究は十分にデータが収集できていないため、次年度に継続して研究を行う必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
1.嗅覚障害が三叉神経系ニューロン活動特性に与える影響 嗅覚障害モデル動物を用いて三叉神経系ニューロンの基本膜特性変化について検討するとともに、脳内神経活性ペプチドを作用させた際の神経修飾変化について明らかにしていく。 2.味覚上方および顎口腔刺激による感覚情報入力、遮断にて活性化される脳部位の免疫組織学的探索 標準飼料、亜鉛欠乏飼料を片側臼歯抜歯群と非抜歯群それぞれに一定期間(1時間x7日間)与えた後(制限食トレーニング)、凍結脳切片を作製し、c-Fos蛋白発現状態を確認する。またOrexinニューロンを二重標識して形態的変化の有無について検討する。さらに別条件として嗅覚情報と味覚情報を単一あるいは同時に遮断した条件下で糖負荷を行い、負荷後一定時間(15-120min)で全脳を還流固定し凍結脳切片を作製、c-Fos蛋白の発現状態について比較検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額は少額であり、予算はほぼ予定通り執行されている。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額については次年度予定している研究の試薬購入に充てる予定である
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