研究課題/領域番号 |
25293412
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
浜川 裕之 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20127905)
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研究分担者 |
中城 公一 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90314880)
合田 啓之 愛媛大学, 医学部附属病院, 助教 (00464371)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 口腔癌 / 免疫療法 / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
近年、がんに対する新規治療法として分子標的免疫療法が注目されている。そこで、本研究では口腔癌患者の免疫抑制状態を反映するバイオマーカーを探索すること、またその免疫抑制機序を明らかにすることを目的とした。最初に口腔癌患者の治療前血清を用いて予後予測因子のスクリーニングを Multiplex Suspention Array System を用いて行った。その結果、早期癌患者において血清中の IL-6 および IL-8 低値患者が、高値患者に比べて有意に生存期間が延長していることが明らかになった。本研究では特に IL-8 による免疫抑制機序の解明を試みた。まず、口腔癌 50 症例の手術標本を用いて、腫瘍微小環境下における IL-8 発現および腫瘍免疫抑制に関与している CD163 陽性 M2 マクロファージの浸潤を免疫組織化学染色にて評価した。その結果、腫瘍微小環境下における IL-8 の分泌と CD163 陽性 M2 マクロファージの腫瘍周囲への浸潤度には正の相関が認められ、それぞれが独立して予後不良予測因子となることが明らかとなった。つづいて、IL-8 による CD163 陽性 M2 マクロファージへの分化誘導の確認を in vitro にて行った。IL-8 により末梢血単核球細胞は CD163 陽性 M2 マクロファージへ分化誘導され、IL-10 産生能の亢進が認められた。以上の結果より、腫瘍微小環境下の IL-8 の発現および CD163 陽性 M2 マクロファージの浸潤が予後予測バイオマーカーとして有用である可能性が示めされた。また、その免疫抑制機序としては腫瘍細胞により産生される IL-8 によって単球から CD163 陽性 M2 マクロファージへの分化誘導が促進され、その M2 マクロファージにより産生される IL-10 などの免疫抑制性サイトカインによる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
口腔癌患者の腫瘍免疫能を評価できるバイオマーカー候補を同定し、学術学会および学術誌にて発表した。
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今後の研究の推進方策 |
口腔癌患者の腫瘍免疫能に対する既存の抗悪性腫瘍薬剤(シスプラチン、セツキシマブ、OK-432 など)の影響を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究に必要な物品等を計画的にを購入したが、次年度使用額がわずかに生じた。研究は予定どおり順調に進捗しており、研究計画に沿って次年度に必要な物品等を購入することとした。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度研究計画に沿って物品等を購入予定である。
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