研究課題/領域番号 |
25293418
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
齊藤 一誠 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (90404540)
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研究分担者 |
佐藤 正宏 鹿児島大学, 医用ミニブタ先端医療開発研究センター, 教授 (30287099)
野口 洋文 独立行政法人国立病院機構(千葉東病院臨床研究センター), 外科, 非常勤医師 (50378733)
大島 勇人 新潟大学, 医歯学系, 教授 (70251824)
山崎 要一 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (30200645)
稲田 絵美 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (30448568)
齊藤 陽子 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (30404487)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 再生歯学 / iPS細胞 / 乳歯歯髄 |
研究概要 |
歯科臨床において、上下顎20 本もある脱落乳歯は子どもの記念に保存する以外はほとんどが廃棄されている。しかし、バイオリサイクルの観点から、乳歯は歯髄幹細胞の有効な細胞供給元として注目されている。本研究では、乳歯由来iPS 細胞を用い、歯形成細胞までの分化誘導レベルの制御を目的としている。具体的には、遺伝子工学的手法を用い、分化を体細胞レベルや組織幹細胞レベルに留め、歯を形成する歯構成細胞や歯髄幹細胞・前駆細胞の効率的な取得法の検討を行う。我々の研究グループは、乳歯歯髄細胞からiPS 細胞樹立を可能にしており、本研究結果を加えることにより、将来の歯のオーダーメイド治療への展望を開くことが可能となる。 まずは、歯髄幹細胞を単離するために、promoterには間葉系幹細胞特異的なヒトLEF-1 promoterを採用した。その下流には、EGFP cDNA, IRES、neo及びpoly(A) sites(pA)が配置されている。IRESはEGFPとneoの2種のタンパクを同一細胞内で発現するための配列である。更に、これら配列の下流にHyg発現ユニットを置く。pLEINHがiPS細胞に導入されると、LEF-1 promoterは働かないので、EGFPやneoは発現しない。しかし、hygが発現するため、Hygromycin B耐性となる。この細胞がDPSCsに分化すると、LEF-1 promoterが働き、EGFPとneoが発現する。即ち、細胞は緑蛍光を発し、G418への耐性を示す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
まずは、乳歯歯髄細胞の初代培養細胞を安定的に取得するために、コンタミのリスクに関して検討を行った。iPS 細胞樹立時にはfeeder 細胞を必要とし、その多くは、マウス由来のfeeder細胞である。我々の研究から、このようなfeeder 細胞は遺伝子導入による遺伝子発現を容易に許す、乳歯歯髄由来の初代培養細胞の増殖を促進させる、初代培養時混在した口腔内細菌の浄化(autophagy)を示すことが明らかとなった。また、口腔組織由来の頬粘膜細胞の初代培養にも同様の手法が応用でき、口腔組織由来の多くの細胞ソースからiPS細胞樹立が可能となった。また、構築したプラスミドをこれらの細胞にも適応することで、当初予定していなかった系への応用も可能となっている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の本計画遂行の要は、如何に効率良くiPS 細胞へ遺伝子導入するかである。一般的な方法である電気穿孔法に基づくmicroporation(Invitrogen 社製)でiPS 細胞に遺伝子導入を行なったところ、70%以上の細胞が遺伝子導入されたが、その後の薬剤選別による安定株取得は不可能であった。そこで、哺乳類細胞への遺伝子導入効率が非常に高いとされるPiggyBac 系をヒトiPS 細胞への遺伝子導入に適用する。Transposase が認識し、結合するacceptor 部分(PB)、その内側にウニアリルサルファターゼ(Ars)由来のインスレーター3 )、更にその内側に目的遺伝子(pLEINH,pAMRIB, pDCIP,)が配置される構造をとる。インスレーターは、ホスト染色体からの遺伝子サイレンシング(位置効果)を遮断する働きがある。予備的な検討では、2種類の蛍光遺伝子(EGFP, HcRed1)をPiggyBac の系でDPCs に導入すると、2種類の蛍光遺伝子を同時発現するDPCs 安定株が多数得られた。これにより、iPS 細胞への遺伝子導入系は確保される可能性が高いと考えられる。
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次年度の研究費の使用計画 |
乳歯歯髄由来iPS細胞株の染色体解析を株式会社chromocenter社にて行っていた。平成26年3月までにその解析が終了すると10万円前後の費用が必要であったため、その額を準備していたが、4月まで解析がずれ込んでしまい、次年度使用額が生じてしまった。 平成26年度4月に解析が終了すれば、その未使用額は使用される予定である。
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