研究課題
コラーゲン線維の三次元的構築は骨の強度や質に直接的に影響を及ぼし、続いて生じる骨の石灰化にも重要な役割を担っていると考えられている。一方、近年開発された直交配置型Focused Ion Beam (FIB)–Scanning Electron Microscope (SEM)は、数ナノレベルの解像度で、一辺数十マイクロの立方領域を三次元的に形態観察が可能である。そこで、今回我々はモデリング期における骨形成に着目し、骨がどのように構築されていくのかを解析するために、直交配置型FIB-SEMを用いて、コラーゲン線維の三次元的形態計測を行った。17日齢ニワトリ胚頭蓋骨を固定・電子染色後、成長端の成長方向を規定した1辺25μmの立方体領域を、直交配置型FIB-SEMを用いて25nmごとにFIBで削合し、SEMで撮影し、約1000枚の連続画像を取得し、Amiraソフトウェアで立体構築した。さらに、コラーゲン細線維は直径が一定していることに注目し、ZIB actinフィラメントソフトウェアを用いて、コラーゲン細線維を骨組織から自動抽出し、線維の走行本数や走行角度について骨表層から深部に至るまで解析した。直交配置型FIB-SEMを用いて、骨組織内部のコラーゲン線維から骨系細胞までを25nm/voxelの解像度で観察することができた。さらに骨表面から深層までの各層での形態計測を行うと、骨芽細胞から産生されてすぐのコラーゲン線維は走行の規則性が弱いが、骨の深部に向けて集束化し、さらに走行角度を変化させて、やがて骨の長軸方向に多く走行することがわかった。骨中のコラーゲン線維の走行を三次元形態計測することが可能となり、今後、骨系の疾患状態把握に応用できる新たな解析法になりうると考えられた。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Bone and Mineral Metabolism
巻: 未定 ページ: 未定
CLINICAL CALCIUM
巻: 25 ページ: 138-144