研究課題/領域番号 |
25293421
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
溝口 到 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (20200032)
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研究分担者 |
田隈 泰信 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (40095336)
鳥谷 奈保子 北海道医療大学, 歯学部, 助教 (20433435)
岡山 三紀 北海道医療大学, 歯学部, 助教 (30382500)
荒川 俊哉 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (40306254)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 顎関節症 / 関節円板 / 細胞外基質 / 機械的荷重 / プロテオグリカン / 機械的負荷 / mRNA / タンパク質 |
研究概要 |
初年度は、予備実験で方法が確立されているin vivo 実験を優先して実施し、mRNA発現に関する基礎データを得た。併せてin vitro 実験の方法の確立を図った。 1. 関節円板への機械的荷重(圧縮力)負荷のためのin vivo 実験:生後7週齢の雄性Wistarラットの上顎切歯部に硬質レジン製の咬合挙上板を装着し、1、2、3、4週間を実験期間とした。顎関節の組織学的観察では、対照群と比較して荷重負荷2週後に円板後方肥厚部の厚径が優位に増加したが、中央狭窄部と前方肥厚部では、厚径の変化は認められなかった。また、厚径の増加がみられた後方肥厚部ではGAGの指標となるメタクロマジー強染がみられた。円板の生化学的分析では、DNA量に変化はみられなかったが、GAG量の増加がみられた。円板の12種類のproteoglycanの発現を定量RT-PCRで検討したところ、挙上群においてtotal versican、decorin、biglycan、chondroadherin およびversicanのRNA splicing 産物であるisoform V0とV1のmRNA発現の増加がみられた。 2. 顎関節円板細胞への機械的圧刺激負荷のためのin vitro 実験の確立:さまざまな条件で培養を行った。その結果、以下の培養条件が円板由来細胞の培養に適していることが明らかになった。生後7週齢の雄性Wistarラット関節円板からcollagenase type II 溶液で細胞を分離する。遠心後、コラーゲンコートの伸縮性培養シート上に 10%ウシ血清入りのDulbecco's modified eagle's medium (DMEM)で培養する予定である。また、継代3から継代6の培養細胞においてII型コラーゲンの発現が減少するものの、aggrecan、versican、decorin、biglycanおよびI型コラーゲンの安定した発現がみられたことから、継代3から継代6の細胞をin vitro実験系に用いることとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の研究計画は、ラットの咬合改変モデルを用いたin vivo 実験を優先して実施し、12種類あるproteoglycan分子のmRNA発現を網羅的に分析することができ、4つのproteoglycan(versican, decorin, biglycan, chondroadherin)およびversican isoform V0, V1に機械的負荷との相関を認めることができた。この結果はその後行ったwestern blottingによるタンパク質の発現の分析においても確認できており、in vivoの実験系は計画通りに進行しており、有益な結果も得られている。また、in vitro 実験の方法も確立することができ、荷重負荷実験を開始しており、おおむね計画通りの進展をみせている。
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今後の研究の推進方策 |
1. 前述した本年度結果を踏まえ、次年度は引き続きin vivo実験系を遂行し、サンプル数を増やして、proteoglycanのmRNAおよびタンパク質の発現の検討、統計分析を行う。 2. Collagenおよびtropoelastinなどの弾性系線維のmRNAおよびタンパク質発現についても検討を行う。 3. In vivoの実験系では、免疫染色およびin situ hybridization を用いて、発現の亢進したproteoglycanのタンパク質とmRNAの局在を詳細に観察する。 4. In vitro実験系では、継代3から6の培養細胞を用いて、荷重負荷実験を行い、in vivoと同様にmRNAとタンパク質の発現を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度のin vivo実験系において、当初予定していなかった細胞外基質(versican、chondroadherin)のmRNAの発現亢進が実験群において観察され、これらの細胞外基質のタンパク質発現をWestern blotting で確認する必要性が生じた。Western blottingに必要な抗体および薬剤を購入するため、次年度の500,000円を前倒し支払い請求を行い、追加実験に使用した。その結果、最終的に16,632円の次年度使用額が生じた。 今回の次年度使用額は、前倒し支払い請求と実際の使用額の間の差の結果であり、研究購入した抗体および薬剤は次年度も invivo実験系に加えて、in vitro実験系のおいても使用する予定である。なお、in vivoおよびin vitroの実験系での研究計画には変更は生じない。
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