研究課題/領域番号 |
25293423
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研究機関 | 松本歯科大学 |
研究代表者 |
小林 泰浩 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 教授 (20264252)
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研究分担者 |
平賀 徹 松本歯科大学, 歯学部, 准教授 (70322170)
高橋 直之 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 教授 (90119222)
山下 照仁 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 准教授 (90302893)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | Wnt5a / 骨代謝回転 |
研究実績の概要 |
Wnt5aが骨代謝回転を維持する分子基盤は明らかでない。そこで本申請課題ではWnt5aがどのような分子を介して骨代謝回転を制御するかを明らかにし、Wnt5aによる骨代謝回転制御機構の分子基盤を確立する。 1.破骨細胞特異的Wnt5acKOマウスの解析:Wnt5acKOの大腿骨の骨形態計測を行った。その結果、Wnt5acKOの大腿骨では骨梁あたりの破骨細胞数に変化が認められなかった。一方、骨梁当たりの骨芽細胞数はWnt5acKOで、有為に減少した。さらに、骨形成速度もWnt5acKOで有為に減少した。これらの結果は、破骨細胞から分泌するWnt5aが骨形成を調節する可能性を示している。 2.加齢に伴うWnt阻害因子の発現変化の解析:加齢に伴うWnt阻害因子の発現変化を解析する過程で、関節炎を誘導したマウスの関節骨では、Dkk1とSfrp4の発現が顕著に増加することが明らかになった。また対照マウスの関節骨では、Sfrp5の発現が高いのに対し、関節炎マウスの関節骨では、著明に減少した。 3.5-FU投与による脂肪髄マウスの解析:Sfrp5は脂肪細胞から分泌することが報告されている。Sfrp5が脂肪細胞で発現するかを検討した。ST2細胞を骨芽細胞あるいは脂肪細胞へ分化させたときのSfrp5の発現をリアルタイムPCR法で検討した。Sfrp5は、脂肪細胞への分化に伴い著明に発現した。 4.OPG-KOおよび野生型マウスにビスホスホネートあるいは抗RANKL抗体を投与した際のsclerostinの発現解析:リアルタイムPCR法を用いて、OPG-KOマウスの大腿骨におけるsclerostinの発現を検討した。野生型マウスに比べ、OPG-KOマウスではsclerostinの発現が顕著に低下した。OPG-KOマウスに抗RANKL抗体を投与し、破骨細胞分化を抑制すると、低下したsclerostinの発現が回復した。この結果は、骨吸収がsclerostinの発現を抑制する可能性を示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は、1.破骨細胞特異的Wnt5acKOマウスの解析、2.加齢に伴うWnt阻害因子の発現変化の解析、3. 5-FU投与による脂肪髄マウスの解析、4.OPG-KOおよび野生型マウスにビスホスホネートあるいは抗RANKL抗体を投与した際のsclerostinの発現解析を計画した。概ね順調に計画が進行していると思われる。3については、5-FU投与による脂肪髄の誘導より、Sfrp5遺伝子欠損マウスの解析がより生理的と考えられた。したがって、この項目は、計画より若干遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
進行が遅れている5-FU投与マウスの解析より、Sfrp5遺伝子欠損マウスがより生理的であると考えられるので、Sfrp5マウスの解析を優先させて行う。残りの4項目に関しては、このまま計画どおり進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
リコンビナントタンパク質がメーカーのキャンペーンにより、当初の計画よりも安く購入できたため、未使用額を生じた。しかし、2638円と小額であり、計画の進行になんら支障はなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
物品費として使用する。
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