研究課題/領域番号 |
25293430
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
中谷 壽男 金沢大学, 保健学系, 教授 (60198124)
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研究分担者 |
須釜 淳子 金沢大学, 保健学系, 教授 (00203307)
大桑 麻由美 金沢大学, 保健学系, 教授 (30303291)
西澤 知江 金沢大学, 保健学系, 助教 (50579597)
臺 美佐子 金沢大学, 保健学系, 助教 (50614864)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 皮膚創傷治癒 / エストロゲン / 常温プラズマ / リンパ浮腫 / 蜂蜜 / 低タンパク質 / 筋注 |
研究実績の概要 |
研究目的:1) エストロゲンと創傷治癒,2)リンパ浮腫と創傷治癒,3)蜂蜜と熱傷,追加として4)常温プラズマと創傷治癒,5)蜂蜜シートの創傷治癒効果,6)筋注部位を簡便に決定できる器具の有効性を見た. 実施内容:1)8週齢,16週齢,36週齢のメスマウスの卵巣を摘出後4週間目に,皮膚全層欠損創を作製して,毎日エストロゲンを塗布して,創傷治癒過程を観察した.効果は年齢が高いほどエストロゲンの創傷治癒効果がみられた.3本の論文として発表した.さらに,8週齢メスマウスを低タンパク質飼料で飼育して,4週間後に創を作製して,エストロゲンを毎日塗布して,治癒を観察した.エストロゲン塗布で2型マクロファージが増加したが,治癒は促通しなかった.論文として発表した.2)鼡径部のリンパ節を郭清(リンパ管切断を伴う)すると,一過性に下肢に浮腫が出現したが,数日で消失した.下肢からのリンパはリンパ節郭清部位で切断したリンパ管からもれて,対面の切断したリンパ管に流入して行くことが判明した.下肢で作製した創傷治癒は遅延しなかった.3)蜂蜜の熱傷への研究は今回は行わなかった,代わりに,5)蜂蜜を含有したシートの創傷治癒への効果を見た.シートの問題なのか創傷の治癒は遅延して,蜂蜜シートの効果は無かった.現在論文の作製を進めている.4)常温プラズマを水で覆った創傷に照射して,治癒効果を観察した.創傷治癒はやや促通した.アルゴン流で創を乾燥させないための,水で創を覆うという斬新なアイデアでの研究であり,論文として発表した.6)三角筋に筋注する適切な部位を簡単に決定できる器具を使用して,その有効性を検討した.有効であることが判明し,論文として発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1から6の番号は上記の研究実績の概要に使用したものである)3)の蜂蜜と熱傷に関する研究は,進んでいないが,他の研究,追加研究は順調に進んでいると評価する. 理由:1)のエストロゲンの創傷治癒への効果は,異なる週齢での実験ができ,論文として発表できている.さらには,低タンパク質の飼料で飼育して,低栄養の状態(人では寝たきり老人が相当する可能性が高い)でのエストロゲンの効果が実験でき,論文として発表できたのは,予定より1年早かったので,順調である.2)のリンパ浮腫と創傷治癒は,マウスの観察匹数が少ないので,平成27年度にさらに研究を進める.リンパ節郭清でもリンパ浮腫ができにくい理由がほぼ分かったので,順調に研究は進んでいる.追加の4)常温プラズマの創傷治癒効果は論文として発表できた,5)蜂蜜シートと創傷治癒も結果が得られ,論文を書くのみである,6)筋注部位の簡易決定器具は役立つことを示した論文を発表できた.以上が研究がほぼ順調に進んでいるとする評価の理由である.
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今後の研究の推進方策 |
(1-6の番号は研究実績の番号に対応する) 1)のエストロゲンと創傷治癒に関しては,ペレット状のエストロゲンを皮下に放置,または,皮膚に毎日塗布するかを比較検討し,同時に,100週齢前後の超高齢メスマウスの皮膚創傷へのエストロゲンの効果を検討する.2)リンパ浮腫と創傷治癒に関しては,マウスの匹数を増やして検討する.3)蜂蜜と熱傷に関しては,低温熱傷のマウスモデルを作製することを主にする.4)常温プラズマと創傷に関しては,理工研究域の教員と共同で,プラズマの照射部位や強さを変化させて,創傷治癒に最適な条件を探索していく.5)蜂蜜シートでは無く,異なって蜂蜜の創傷効果を検討する予定でいる.6)筋注部位の決定器具を実際に生体で用いての研究を行う予定である.追加として7)肥満と創傷の関係を研究する.肥満させたマウスでの創傷治癒過程を観察し,同時に,脂肪細胞を培養して,その培養液が創傷治癒(培養の角化細胞を用いる)におよぼす影響を検討する.
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