研究課題/領域番号 |
25293433
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
橋口 暢子 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80264167)
|
研究分担者 |
栃原 裕 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 学術研究員 (50095907)
樗木 晶子 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60216497)
宮園 真美 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (10432907)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 皮膚温度感受性 / 高齢者 / 生活習慣 / 生活環境 |
研究概要 |
研究目的:高齢者の皮膚温度感受性の実態を明らかにするために、温冷覚閾値測定を行い、また、対象者の個人属性や、疾患、治療の状況、生活環境、生活習慣等のアンケート調査を合わせて行うことで温冷覚閾値に影響する因子を抽出する。 研究方法:65歳以上の男性被験者30名を対象とした。温冷覚閾値の測定部位は、頬部、腹部、手背、下腿、足背の5部位とした。実験は九州大学大学院医学研究院看護研究実験室の恒温恒湿室にて行った。実験室内の室温は25℃、相対湿度50%とした。被験者の基本衣服はパンツ、半そでTシャツ、短ズボンとした。被験者が実験室内のベッドに30分以上臥床し安静にしたのち、温冷覚閾値の測定を開始した。 研究結果: 被験者の住居タイプは、戸建が34.5%、集合住宅が65.5%であった。最も使用する冷房はエアコンが55.2%と最も多かった。暖房機器はこたつが28.6%で最も多かった。毎日運動をしている人が82.8%、飲酒している人は80%、喫煙は24.1%であった。夏季でも冷えを感じる人は20.7%で、冬季足の冷えで目を覚ます人が6.9%であった。温冷覚閾値測定については、5部位すべての部位の測定ができた28名を分析対象とした。温覚の自覚皮膚温の全体的傾向を部位ごとに見ると、足背>下腿>手背>頬部≑腹部であった。冷覚の自覚皮膚温は、足背>下腿>腹部>手背>頬部であった。 疾患別に温冷覚閾値を比較すると、温覚の自覚皮膚温は、心疾患(n=4)および糖尿病治療中(n=7)は、治療なし群(n=9)に比べ、すべての部位で閾値が高く、特に下肢の部位の閾値が大きかった。高血圧群(n=8)は治療なし群と顕著な差はなかった。 冷覚の自覚皮膚温は、心疾患群のみ治療なし群よりも閾値が、頬部以外すべての部位で大きかった。しかし、糖尿病、高血圧群は治療なし群と顕著な差が認められなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
皮膚温度感受性に関する実験は実施する季節にも配慮が必要となる。今年は夏季の猛暑により予定していた実験開始を遅らせる処置をとった。しかし、予定していた被験者確保はでき、実験も順調に進捗した。
|
今後の研究の推進方策 |
平成25年度と同様に温冷覚閾値測定およびアンケート調査を行い、被験者が50名となった段階で、生活習慣、生活環境要因と温冷覚閾値との関係について詳細に分析し、温冷覚閾値に影響する因子を抽出する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
研究打ち合わせのための旅費を予定していたが、打ち合わせの時間確保ができず、メールでのやり取りで打ち合わせを行ったため、次年度使用予定額が生じた。 平成26年度は、平成25年度と同様に温冷覚閾値とアンケート調査を行いデータの蓄積を行い、学会等での成果発表を行う予定である。成果発表前に、データがそろった段階で、皮膚温度感受性に関して専門的示唆を得るために研究打ち合わせを行う予定であり、そのための旅費として使用する計画である。
|