研究課題/領域番号 |
25293434
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研究機関 | 岩手県立大学 |
研究代表者 |
工藤 真由美 岩手県立大学, 看護学部, 准教授 (10443889)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 看護実践能力 / 看護継続教育 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、長期にわたり実践経験を重ねた看護師が獲得する、またすべき看護実践能力を概念化し、その評価指標を開発、それをもとに教育プログラムを策定することにある。そこで26年度は現状の長期実践看護師の就労状況、及び看護継続教育の現状、また看護管理者が認識する長期実践看護師の実践能力を明らかにする。そのために以下の調査を実施した。そのことによって、日本の各施設で就業する長期実践者の継続教育に関わる課題をまとめ、また今後育成すべき長期実践者の実践能力を明らかにできると考える。看護実践能力の様相は、2009年に中山らが開発した「看護実践能力自己評価尺度」(13の看護実践能力の概念のもと64項目の質問項目をもつ)を使用する。 1.調査結果:依頼施設、1200施設、依頼承諾施設 314施設 部署看護管理者発送数3,630部、施設看護管理者 229部(回収率:73%)、部署看護管理者 1,747部(回収率:48.8%) 2.今回調査で明らかになること、また今後の研究計画 1)施設看護管理者への質問紙調査:病院施設における継続教育の実態、病院施設における実践能力評価の状況、長期実践看護師の実践能力向上、またキャリア支援のために行われていること、長期実践看護師の実践能力向上の支援のための阻害因子、施設看護管理者が考える長期実践看護師の卓越性、施設看護管理者が考える長期実践看護師の人材育成に関する課題 2)部署看護管理者への質問紙調査:部署看護管理者が実感する長期実践看護師の実践状況(能力の発揮)、部署看護管理者が求める長期実践看護師の実践能力、部署看護管理者が行っている長期実践看護師の実践能力向上のための支援、部署看護管理者が求める長期実践看護師の卓越性、部署看護管理者が認識する長期実践看護師の実践能力(看護実践能力評価尺度
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画初期において、長期実践看護師の実践能力を明らかにするにあたっては、該当者への直接的な調査と看護管理者のインタビューよりアプローチする予定であった。しかし、検討会で多様な背景を持つ施設で働く看護師の一部の質的なアプローチでは汎用性のある指標開発において、十分とは言えないとう意見が上がった(25年度)。そこで、26年度に日本全国における300床以上の病院施設の看護師の継続教育と実践能力評価および、キャリア開発の現状を把握し、またそこで看護管理者が認識する長期実践看護師の実践能力を明らかにすることとした。そのため当初計画されていなかった全国の病院調査が昨年度の大きな取り組みとなった。このことで、当初予定していた長期実践看護師自身への調査が先延ばしとなった(H27年度実施予定)しかし、本調査によって日本における長期実践看護師への継続教育の課題や、長期実践看護師へ期待する看護管理者の思いが明らかになる(現在テキストマイニングにて分析中)このデータが、今後長期実践看護師の実践能力の概念化において、客観的評価としての能力と求められる能力(需要される)の基盤となる。 当初計画より、多少の遅れはあるが、この結果は有益であり、今年度は当初予定を遂行していく。
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今後の研究の推進方策 |
1.今年度は、昨年度末に返送された質問紙の分析を行い、質問紙の目的である上記内容を明らかにする(回収率:施設看護管理者74.8%、部署看護管理者49.7%)。現時点の分析において、予期せぬ傾向がデータより読み取れ、新たに実践能力評価に関する施設間の取り組みを詳細に検討する課題が発現した。結果を受け、各施設における実践能力評価の内容、実施の方法、また評価のレベルなど、追加の調査を実施を検討する。 2.また、今回の調査は、看護実践能力評価の尺度を用いて調査を行っている。本尺度は13の実践能力の概念からなっており、調査結果より長期実践経験者の実践能力にどのような課題があるかを分析する。 3.質問紙の記述データをテキストマイニングで分析し、看護管理者が求める長期実践経験者の実践能力と、施設看護管理者(看護部長)、また部署看護管理者(看護師長)が考えるその継続教育の課題を明らかにする。 4.さらに具体的な長期実践経験者の実践行動を明らかにすべく、優れた実践能力を持つと評価される長期実践経験者の実践行動の参加観察およびインタビューを実施し、実践能力の概念化を進めていく。 5.1、3の取り組みによって、病院施設が持つ長期実践者への期待から、必要とされるまた需要とされている長期実践経験者の実践能力を明らかにする。2の結果より、現状の長期実践経験者の実践能力の課題が明らかになる。そして、4の結果より現時点における優れた長期実践経験者の実践能力の明らかにする。この両面から今後求められる長期実践経験者(ジェネラリストナース)としての実践能力を定義する。定義されたジェネラリストナースの実践能力の概念定義をもとにして、評価指標を作成する。作成後は、エキスパートパネルによる内容妥当性の検討を行い、プレテストを実施する。同時にジェネラリストナースの定義された実践能力育成のためのプログラムを作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度に使用予定のため。
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次年度使用額の使用計画 |
人件費・謝金に割り当てる。
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