研究課題/領域番号 |
25293434
|
研究機関 | 岩手県立大学 |
研究代表者 |
工藤 真由美 岩手県立大学, 看護学部, 准教授 (10443889)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 看護継続教育 / 看護実践能力 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、長期にわたり実践経験を重ねた看護師が獲得する、またすべき看護実践能力を概念化し、その評価指標を開発、それをもとに教育プログラムを策定することにある。H27年度は、H26年度に実施した調査結果の分析を行った。結果、10年以上の長期実践経験をもつ看護師(以下長期実践者)の継続教育の現状と、部署看護管理者が捉える長期実践者の看護実践能力の様相と期待する能力が明らかになった。 施設管理者のデータ(n=234)は、継続教育内容と評価システム長期実践者に期待する能力(記述)と継続教育の課題(記述)をたずねた。すべての施設が計画的な教育プログラムを実施していた。またクリニカルラダーまたはそれに相当する実践能力の評価システム(以下ラダー)も85%の施設が実施していた。ラダーの評価基準は、その評価基準の最高位の到達経験年数は、10~15年が最も多く、20年以上という施設も10%以上あった。また、その最高位に到達している人数が、全看護職の10%未満が最も多く、ラダー運用自体の課題なのか、実践力の課題、基準の高さが起因するかが考えられる。結果はWANS(ドイツ)で発表行った。 部署看護管理者(n=1191)は、看護実践能力評価尺度(13のコンピテンス、64の下位尺度をもつ)を用いて、長期実践経験者の実践内容について評価していただいた。これは個人的評価ではなく、看護管理者が長期実践者に持つ認識として図った。結果、コンピテンスによって、その特徴が確認された。また施設病床規模別では、600床以上の施設はこのコンピテンスも優位に高く、300~599床の施設においては実践能力への課題を認識していると結果であった。 それぞれ記述データのテキストマイニングより、長期実践者に求める優れた看護実践能力が抽出した。長期実践者の評価の課題と求める実践能力の課題が明らかになった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度の前半部分において、調査の分析結果をまとめ報告書を作成する予定であったが、分析に時間を要してしまった。今回、1000以上の記述データであるため、SPSSのテキストマイニングを用いて実施した。初めての使用ということ、またソフトの限界もあり、データ分析に関して、ソフトまた研究者自身(研究会による検討も含む)による確認作業という点でかなりの時間を要してしまった。この記述データが次の研究計画書の根拠となるため、この作業の遅れが、今年度計画の遅延となった。
|
今後の研究の推進方策 |
平成28年度の第一目標は、今年度前期に先の調査の報告書を作成し、各施設に内容を還元する。 次に、調査によって概念化された長期実践経験者の「求められる実践能力」として位置付ける。28年度は、長期実践経験者自身の実践内容から、現状の長期実践によって培われた「優れた」実践能力を参加観察、およびインタビューによる質的なデータ分析におり明らかにしていく。 そこから「現状の優れた実践能力」と先の「求められる実践能力」を比較検討して、最終的に「長期実践経験者の卓越した実践能力(仮称)」として明らかにする。この実践能力(コンピテンシー)を具体的な行動レベル(パフォーマンス)として表し、評価尺度を作成し、プレテストを行い、その内容妥当性、基準構成妥当性、信頼性を検証する。 エキスパート・パネルより、明らかになった「長期実践経験者の卓越した実践能力(仮称)」を育成するための教育プログラムを検討していく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度内に実施した調査報告書を作成し、協力施設に配布する予定であったが、データ分析が遅延し、報告書作成が28年度になってしまたっため、その報告書作成と送付のための費用が残った。
|
次年度使用額の使用計画 |
平成28年度に調査報告書を作成し、協力施設へ配布する費用としてあてる予定である。
|