研究課題/領域番号 |
25293448
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研究機関 | 日本赤十字広島看護大学 |
研究代表者 |
百田 武司 日本赤十字広島看護大学, 看護学部, 教授 (30432305)
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研究分担者 |
森山 美知子 広島大学, その他の研究科, 教授 (80264977)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 回復期リハ病棟 / 脳卒中 / 再発予防 / 介入研究 / RCT |
研究実績の概要 |
昨年度、再発予防教育介入プログラムを構築し、再度検討し修正した。再発予防教育プログラムは、入院中の継続的介入とし、プログラム参加者の自己決定性を主とする学習支援型とした。また、プログラムの到達目標は、回復期リハ病棟入院中の脳梗塞患者が、再発予防のための自己管理ができることとし、それを退院後にも測定することとした。また、プログラムは、診療ガイドラインから教育内容の抽出し、エビデンスに基づいたものとした。対象者は、究施設の回復期リハ病棟に入院中の脳梗塞患者のうち、以下の条件をみたす者を、研究施設の主治医に選定してもらうこととした。①対象の選択基準: A)40歳以上、80歳未満の成人で、研究参加に同意を得た者。B)入院の理由となった診断名が、脳梗塞(心原性脳塞栓症、アテローム血栓性脳梗塞、ラクナ梗塞、その他の脳梗塞)である。C)リクルート時点の脳梗塞重症度が、mRSで、0~4まで。回復期リハ病棟入院中に(全9回、1回につき約30~60分)の面談による患者教育を実施することとした。本プログラムに使用する教育媒体としては、研究者らが作成した「自己管理手帳」と「プログラムテキスト」を登録時に提供を行うこととした。その有効性の検討として、評価尺度を「再発予防知識テスト」・「Health Locus of Control尺度」・「PHQ-9」・「参加者によるプログラム評価」等を設定した。自己申告データと検査データを、介入群と同じテーブルに沿って、データの提出を依頼している。そして介入を実施継続中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度、介入プログラムを確立するための全国調査のアンケートの回収・収集で、当初の予想に反してアンケートの回収率が悪く、回収率を上げるために回収期間を延長した。そのため、再発予防教育介入プログラムの構築が遅れ、それに伴い、介入の開始も遅れた。当初、3施設で実施の予定であったが、受け入れ側の調整等のために、2施設の介入が遅れており、現在1施設での介入である。しかしながら、既に介入期間を終了した対象者がおり、解析したところ、介入群の介入前後で「再発予防知識テスト」は有意に上昇していた(p<.05)。また、「参加者によるプログラム評価」についても、プログラムの内容、プログラムテキスト、自己管理手帳、看護師の面接、1回の面接時間、プログラムの期間等、全て良好である。「Health Locus of Control尺度」と「PHQ-9」については、有意差はないが、介入前後で状況傾向を示している。また、これらの研究成果を、第40回日本脳卒中学会総会のコメディカルセッションにおけるパネルディスカッションで、「脳卒中再発予防教育のエビデンス 回復期リハビリテーション病棟における脳卒中再発予防教育プログラムの効果」として報告した。さらに、一般演題においても報告した。
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今後の研究の推進方策 |
現在、1施設においては対象者を確保出来ており、介入をすすめている。しかしながら、対象条件に見合う患者が当初見込みより少ない。また、対象疾患を脳梗塞としているが、クモ膜下出血を除く脳出血においても、リスクファクターが脳梗塞と共通する部分が多く、同じ介入プログラムで介入可能であると考え、専門医、専門看護師等の臨床専門家にコンサルテーションしたところ、合意を得た。そこで、今後は脳出血も対象に加え実施していく予定である。さらに、当初予定していた、他の2施設についても、ほぼ受け入れ体制が整ったため、それぞれの施設における研究倫理審査を受審する予定である。同時に、研究対象施設で教育的介入を実施する看護職への教育と、教育的介入の体制を確立する。そして、研究倫理審査で許可が出次第、対象者をリクルートし、回復期リハ病棟入院中の脳卒中患者を対象に、再発予防教育的介入を実施し、評価指標を測定する。データの分析方法としては、個人属性と指標のベースライン比較、本研究の介入群と対照群の2群間の比較する。成果の公表等については、回復期リハ病棟に入院中の脳卒中患者に、再発予防を目的とした患者教育を、無作為化比較試験にて実施することによる、危険因子(データ)の変化及び行動変容から判定される再発・合併症予防効果等について検討し、教育的介入による効果や影響要因を検証し、得られた結果を取りまとめ、随時成果の発表を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
一昨年、介入プログラムを確立するための全国調査のアンケートの回収・収集で、当初の予想に反してアンケートの回収率が悪く、回収率を上げるために回収期間を延長した。そのため、再発予防教育介入プログラムの構築が遅れ、それに伴い、介入の開始も遅れた。
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次年度使用額の使用計画 |
前年度遅れた介入を実施していくため、施設数を増やし、前年度使用しなかった人件費を使用する。
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