研究課題/領域番号 |
25293453
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
浅野 みどり 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30257604)
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研究分担者 |
石井 真 中部大学, 生命健康科学部, 講師 (70338002)
山口 知香枝 名古屋市立大学, 看護学部, 講師 (70514066)
山田 知子 中部大学, 生命健康科学部, 准教授 (80351154)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 小児アレルギー / 看護師の役割 / Shared Decision Making / 家族のケア / 納得の医療 |
研究実績の概要 |
平成26年度は前年度に行った第1段階面接調査(職種別・個人面接)のデータ分析を中心に行い、海外での成果発表を行った。また、個人調査結果から抽出された内容の補足・精選化を目的として、結果に基づき第2段階のFGI調査(2組)を実施した。 分析結果から、看護師の専門性発揮の基礎となる「看護師の役割」に対する他職種の認識では、医師と薬剤師ではほぼ類似した5点が提示された。<子どもと家族の日常生活を把握し、変化に気づく><子どもと家族の情報を的確に提供する><子ども・家族に応じたコミュニケーションをとり医療者との間で仲介する><子どもと家族にしっかり伝える><不安を解消し安心させる>などであり、看護師に期待することは、<患者に近い位置での支援><専門的知識・技術・経験による判断能力><地域に活躍の場を広げる><専門的スタッフの育成><自己研鑚を続ける>などであった。一方、子ども・家族の面接では、外来看護師とのかかわりの経験として<医療処置を行うとき声をかけてもらう><体調を訊ねられる><関心を示すかかわり(直接診療とは関連しない関わり)><スキンケアの指導><受診の手続き的関わり>が示された一方で、<外来で看護師と話す機会がない>も多くの親子から語られた。さらに、看護師の専門性への期待として明確に語られた内容はほとんどなかった。しかし、ケアで嬉しかったこととして<関心を示すかかわり><子どもの成長を一緒に喜び見守る><不安なことにじっくり対応してくれる>など他職種からの期待に類似していた。 質の高いコミュニケーションによって子どもと家族の生活や変化の状況を把握し、子どもと家族の理解と安心につながる説明やかかわり≒他職種との関係を補完する役割が期待されている。看護師も発揮役割として自負すると考えるが、現状では必ずしも十分に発揮されていないことが課題として確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
第1段階調査の職種別インタビュー調査まで比較的順調に進んであるが、面接では予想以上に多くの語りがあり、データ分析に関して非常に時間がかかっている状況である。前年度内に第2段階のフォーカス・グループ・インタビューの一部を実施することができたが、まだ十分ではなく、今年度もフォーカス・グループ・インタビューの追加を行う必要があると考えている。 また、大学の新しいプログラムがスタートしたことに伴い、本務の役割が増えたことから、研究時間の確保が難しくなっている。エフォートの調整を再検討する必要性を認識している。 したがって、平成27年度内に次のステップである「小児アレルギー診療における納得の医療のためのSDMに基づく看護ケアガイドライン(案)」の作成とデルファイ法(全国調査)の実施に向けて、その準備を進めることが急務となる。
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今後の研究の推進方策 |
最優先事項として、「小児アレルギー診療における納得の医療のためのSDMに基づく看護ケアガイドライン(原案)」の作成とデルファイ法を用いた全国調査の実施と考えている。 これに向けて、第1に未分析の栄養士およびFGIのデータ分析によるカテゴリー・サブカテゴリー一覧の完成を目指す。また、この一覧においては予期しない対象者バイアスのリスクを完全に避けることは難しいことも懸念される。つまり、表に盛り込まれていない要素も危惧されることから、第2の補完的リソースとして、小児アレルギーエデュケーターの到達目標のアドバンス版を用いることとする。これと我々の調査結果の要素(カテゴリー・サブカテゴリー)との比較検討を行い、その最小公倍数からガイドライン原案の質問アイテムリストを完成させる。 完成したガイドライン原案を用いて、基準に合致する医療機関からランダムに抽出した医療機関にデルファイ調査を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は日程が確保できずに、計画していたロンドンの小児病院を中心としたアレルギー診療の視察を実施することができなかったため、視察先および時期について次年度に再調整することとなった。また、当初の計画よりも面接データの分析が遅れたこと、および、研究補佐の人材を確保できず人件費が下回った。
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次年度使用額の使用計画 |
ヨーロッパの小児病院またはオーストラリアの小児病院を中心にアレルギー診療の視察と現地のアレルギー診療従事者・研究者とのディスカッションを行う予定である。また、成果発表として、デンマーク・オーデンセを訪問予定であり、その際にも視察を計画している。 次年度は遅れていた全国調査を計画しているため、研究補助者への謝金等の人件費を使用する計画である。
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