研究課題/領域番号 |
25293457
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 高知県立大学 |
研究代表者 |
佐東 美緒 高知県立大学, 看護学部, 准教授 (20364135)
|
研究分担者 |
中野 綾美 高知県立大学, 看護学部, 教授 (90172361)
高谷 恭子 高知県立大学, 看護学部, 助教 (40508587)
首藤 ひとみ 高知県立大学, 看護学部, 助教 (50584348)
大川 宣容 高知県立大学, 看護学部, 准教授 (10244774)
井上 正隆 高知県立大学, 看護学部, 助教 (60405537)
益守 かづき 久留米大学, 医学部, 教授 (20238918)
野嶋 佐由美 高知県立大学, 看護学部, 教授 (00172792)
有田 直子 高知県立大学, 看護学部, 助教 (70294238)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | NICU / 在宅移行 / 教育プログラム / シミュレーション教育 / 家族 |
研究概要 |
本研究の目的は、家族と多職種を対象とする「新生児集中治療室(Neonatal Intensive Care Unit:以下、NICUと略す)からの在宅移行を支えるシミュレーションを活用した教育プログラム」を開発することである。研究目的から、3つの目標を設定した。平成25年度は、[目標I:NICUからの在宅移行の実態を把握する]について研究計画を立案し、実施した。 [目標I:NICUからの在宅移行の実態を把握する]では、①NICUからの在宅移行支援に関する現状を把握し、②NICUからの在宅移行に関する課題、問題点を明らかにした。まず、既存の文献、先行研究から、①NICUからの在宅移行、②退院支援、③小児在宅医療、④医療的ケアの必要な子どもの家族への支援、⑤地域連携、⑥小児訪問看護、⑦NICUを退院する(退院した)子どもと家族の体験などを抽出し、現状、課題、問題点を把握して基礎知識とし、それを参考にしながらインタビューガイドを作成し、研究対象者へ個人インタビューを行った。 対象者は、NICUを退院する(退院した)子どもの家族を支援した経験を持つNICU・小児科病棟での勤務経験を有する看護師6名、子どもの訪問看護を実践したことのある訪問看護師1名であった。 その結果、看護師は、【子どもの状態を不安定だと感じる】家族が多く、【子どもから目を離せない】状況が続き、吸引、注入など【1日中医療的ケアに追われ(る)】ているのではないかと考えていた。また、母親以外の家族員の多くが、【医療的ケアに自信が持てない】のではないかと考えていた。ショートケア、デイケア施設が整備されない中で、家族は子どもから離れられないことから、【社会から孤立している】状況であると捉えていた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成25年度は、NICUを退院する(退院した)子どもの家族を支援した経験を持つ多職種:NICU・小児科病棟・小児科外来で勤務する看護師、保健師、子どもの訪問看護を実践したことのある訪問看護師、医師、ソーシャルワーカーなどに、①在宅移行に向けての多職種と家族との関わりはどのようであったか、②在宅療養生活の中で継続する医療的ケアは何か、実施状況はどうか、③家族の学習ニーズにはどのようなものがあるか、④家族の抱える子どもの入院中、および、退院後の困難感に焦点をあてインタビューを行う予定であった。 しかし、医療的ケアのある子どもを支援した経験を持つ医療者へのインタビューが十分にできたとは言い難い。NICUを退院した子どもの支援を行った訪問看護師数は、非常に少なく、このことでも家族への地域での支援が十分でないことが伺えた。また、①在宅移行の見通しが立ったNICUに入院中の子どもの家族、②NICUを退院した在宅療養中の子どもの家族各5~10名にもインタビューを予定していたが、今年度はインタビューを行うことができなかった。子どもの状態が安定していないこと、家族が子どもの現状を受け入れることが難しい事なども一因であるが、インタビューだけを目的として家族に関わるということは難しく、長期的な関わりを通して、研究者と家族との信頼関係を結ぶことが重要であると感じた。 また、テレビ会議を導入予定であったが、使用予定であったシステム提供が終了しており、研究協力者との連携が十分に取れなかったということも、研究がやや遅れた原因として挙げられる。今後、退院に向け、支援が必要な家族に対してのインタビューを中心に、現状の把握を継続的に行っていく必要があると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、テレビ会議システムを導入し、研究協力者も増やし、研究体制を整える予定である。現在、テレビ会議システムの選定を行い、パソコンや付属品の購入を検討し、システム活用のための準備を進めている。テレビ会議システムを導入することによって、研究者間の連携を図り、頻回な会議の開催により、研究を推進することができると考えている。 また、シミュレーション教育については、基本的な知識、技術に関して、共同研究者を中心として、研修会に参加予定である。昨年、研修会に参加した研究代表者を中心として、学内の共同研究者間のミーティングは定期的に行っており、その際、シミュレーション教育のデモンストレーションを行い、ファシリテーター、デブリーディングの技術修得、能力向上に努めている。また、高機能シミュレーターの操作技術に関しても学内で講習会開催を予定しており、教育プログラム作成時のプログラミングに関しての知識も修得できると考えている。 家族へのインタビューに関しては、研究代表者、共同研究者の訪問看護ステーション、病院施設での研修を取り入れ、臨床現場の把握に努め、子どもや家族との信頼関係を築き、今後のアクションリサーチの準備を行う予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度に、テレビ会議システムを導入する予定であったが、使用予定のシステムの供給が終了しており、他のシステム導入も考えたが、使用環境や使用料金の問題があり、システムを導入することができなかった。テレビ会議システムの構築ができなかったため、テレビ会議回線使用料、パソコン、付属品の購入を行わず、次年度使用額が生じる結果となった。 平成26年度は、研究を推進する目的もあり、テレビ会議を導入する予定である。昨年度、研究協力者のNICU、もしくは、小児科病棟の現状を把握したが、医療的ケアを必要とし、在宅移行期にある家族が教育プログラムを実施できるのは、子どもの全身状態の安定、家族の子どもの病状の受け入れなどの問題があり、容易ではないことが判明した。 そこで、研究協力者を増やし、対象施設を広げ、協力を依頼する必要性があると考えられた。今年度の予算も含め、テレビ会議システムを導入し、教育プログラムの実施がスムーズに行えるようにする必要が生じた。そこで、テレビ会議システム回線料の増額も含め、支出予定である。
|