研究課題
本研究においては、研究者らが開発した日本版 Self-cere Assessment Toolを実際に用いることによって臨床の看護師が精神障害者のセルフケア能力を的確に評価できるようになることをめざしている。今年度は以下の点を実施することができた。1)臨床の精神科看護師が実際に Self-care Assessment Tool を用いてアセスメントする際に必要となる看護師の関心の向け方や援助の方向性が見いだせるように、Self-care Assessment Tool の質問項目に必要な留意事項を明記した。また Self-care Assessment Toolが長期入院となっている精神障害者のセルフケア・レベルを上げるための援助につながるように修正を加えた。2)短期入院の精神障害者が自分のセルフケア・レベルを自覚できるような質問紙の開発も並行して行った。3)1)2)によって短期入院の精神障害者の場合でも、長期入院となっている精神障害者の場合でも臨床の精神科看護師が的確に精神障害者のセルフケア能力をアセスメントできる Tool にすることができたと考えられるが、実証するまでには至らなかった。また、今年度予定していた Self-care Assessment Tool を用いて看護ケアを展開するために必要となる基礎知識を明らかにし、教育プログラムの作成につなげていくことについては検討できなかった。なお、本年度の研究活動にあたっては、研究代表者、連携研究者が所属する研究倫理委員会に計画書を提出して審査を受け、承認を得てから行った。
4: 遅れている
日本語版 Self-care Assessment Tool の作成が遅れてしまったために、研究全体が遅れることになってしまった。
臨床の精神科看護師による実践活用が大幅に遅れてしまったので、臨床側の状況が整い次第実施する予定である。とくに平成27年度に実施計画をしている ① Self-care Assessment Tool の手引きの作成、② セルフケア看護事例検討の方法論の明確化、③ 看護実践能力を高めるための教育プログラムの実施を同時に進めていくことができるように工夫することで遅れを取り戻していきたい。
日本版 Self-care Assessment Tool の作成が遅れてしまったために、今年度もDr. Underwood の助言を受ける機会がなくその費用を残してしまった。また、臨床の精神科看護師による実践活用が十分にできなかったことやワークショップ、事例検討会等が開催できなかったため、研究協力者の旅費、会議費等の経費が未使用となった。
物品費(実践の場で使用するノートパソコン, 図書, 文房具, USBメモリ, ボイスレコーダー等)1,327,355円、旅費(国内(研究協力者の旅費を含む), 海外)1,800,000円、人件費・謝金(専門家の助言に対する謝金, データ整理のアルバイト料)920,000円、その他(翻訳料, 会議費, コピー代, 通信費等)900,000円に使用する計画である。