本研究においては、研究者らが開発した日本版 Self-care Assessment Toolを実際に用いることによって、臨床の看護師が精神障害者のセルフケア能力を的確に評価できるようになることをめざしている。本年度は、日本版Self-care Assessment Toolおよび急性期ユニット用 Self-care Assessment Toolを用いて、2つの精神科病院で実践活用を行い(研究協力者10名)、その効果を検討した。その結果を含めて、これまでの研究成果をまとめ、「日本版 セルフケア・アセスメント・ツール」「日本版 セルフケア・アセスメント・ツール【修正 急性期治療ユニット用】」「日本版・修正 セルフケア評価ツール(当事者用)(看護師用)」の3種類の Self-care Assessment Tool を作成した。 「日本版 セルフケア・アセスメント・ツール」は、Dr.Underwood によって作成されたSelf-care Assessment Toolを翻訳し、それを日本の精神科医療・看護状況に合わせて修正したものである。そのため3種類の Sel-care Assessment Toolには、originalが、Dr. Underwood のものであることを明記した。 精神障害者自身がセルフケア能力を自己評価するための質問紙(35項目)の開発は、平成28年度もデータ収集をし、検討を行う予定であったが、研究協力病院が、熊本地震の被災地であったために中断せざるを得なくなり、平成29年度以降に再開することとした。 また、「日本版 セルフケア・アセスメント・ツール」を用いて実践における看護師のアセスメント能力を向上させるための教育プログラムは、Orem-Underwoodのセルフケア理論、精神力動論を基本に含め、研究協力病院で実施して、その効果の検証を続けている。
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