研究課題/領域番号 |
25293475
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研究機関 | 日本福祉大学 |
研究代表者 |
長江 美代子 日本福祉大学, 社会福祉開発研究所, 客員研究所員 (40418869)
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研究分担者 |
服部 希恵 日本福祉大学, 社会福祉開発研究所, 客員研究所員 (00310623)
平田 弘美 滋賀県立大学, 人間看護学部, 准教授 (00332932)
古澤 亜矢子 日本赤十字豊田看護大学, 看護学部, 講師 (20341977)
加納 尚美 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 教授 (40202858)
甘佐 京子 滋賀県立大学, 人間看護学部, 教授 (70331650)
田中 敦子 日本福祉大学, 福祉社会開発研究所, 客員研究所員 (70398527)
石黒 千映子 岐阜大学, 医学部, 准教授 (80315895)
土田 幸子 鈴鹿医療科学大学, 看護学部, 准教授 (90362342)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 性暴力被害者支援 / 急性期総合支援ワンストップ / SANE / フォレンジック看護 |
研究実績の概要 |
1.暴力被害による心的外傷後ストレス障害(以後PTSD)の予防・治療・回復に焦点を当てたケアを継続的に提供できる支援体制について:1)各メンバーがセラピー技法を習得し、トラウマケアチーム(看護師・臨床心理士・精神科医師)を構成した。また、地域の健康医療福祉機関およびNPOなどの民間団体と協力支援体制を整えた。2)取得した(もしくは取得するために研修を受けている)セラピーおよび心理教育的介入プログラムは、親子相互交流療法(PCIT)、持続エクスポージャー法(PE)、CAREなどである。3)名古屋市男女平等参画室、名古屋第二赤十字病院、女性と子どものライフケアを中心に、性暴力救援ネットワーク準備委員会を構成した(「メンバー表」参照)。4)H27年度より、チームとしてセラピーを含むケア提供を研究活動の一貫として開始する。 2.性暴力被害への医療・司法・行政にまたがる急性期の総合支援(ワンストップ)システムにおけるSANE(性暴力被害者支援専門看護師)の役割について:1)性暴力被害者支援看護職(SANE)養成プログラムを名古屋市内で実施した(10月~翌年1月で6日間40時間)。第1期の受講者は約20名であった。以後毎年実施していく。2)日本フォレンジック看護学会を設立し(2014年3月)、2014年8月30日に第1回学術集会を開催した(東京有明医療大学)。3)名古屋第二赤十字病院に急性期の総合支援ワンストップセンター設置が決定した(2015年2月)。今後は、病院内外の委員会設置、スタッフの派遣、スタッフの育成(支援者やSANEなどの専門家の育成のための研修を実施)などを行いながら、名古屋第二赤十字病院が「ワンストップ拠点病院」として継続的に運営できるような地域との連携協力体制を整えていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
<達成>1.トラウマケア提供のためのカウンセリング部門の開設:1)医療機関との連携によりPTSDの予防・治療・回復のためのトラウマケアチームを編成した。 2)トラウマケアの拠点としてカウンセリング業務が実施できる場所を確保した。2)利用者がアクセスしやすく、医療福祉機関と連携しやすい場所にある賃貸物件を利用し、2015年2月にオフィスを移転した。3)新オフィスで、親子相互交流療法(PCIT)から個人カウンセリングまで、利用者に合わせてさまざまなセラピーが提供可能なオフィスにした。 2.性暴力被害への医療・司法・行政にまたがる急性期の総合支援(ワンストップ)システムの拠点病院が確保でき、協力体制を整えた。 <遅れ気味>ワンストップ「性暴力被害者救援センター日赤なごや」が具体的に実施できるめどができ、トラウマケア提供の準備も進んだが、周産期における暴力被害スクリーニングとトラウマケア提供の準備がおくれている。理由としては、ワンストップシステムの拠点病院が決まるまでに時間がかかったこと、トラウマケアの準備を先に進める必要性ができてきたため。
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今後の研究の推進方策 |
1.暴力被害者への継続したトラウマケアのプロトコルの作成:1)スクリーニング⇒急性期介入⇒フォローアップ(基本プロトコル)、2)慢性化したPTSD(複雑性PTSD含む)の回復のプロセスに向けたケアのプロトコル、プロトコルには関連機関との具体的な連携方法や支援ネットワークの有効な活用を含む。プロトコルに沿ったプロセス評価とアウトカム評価の項目を設定する。これらについては、平成27年度より、ワンストップセンターの活動開始に沿って実施する予定である(2015年10月開始予定)。 2.周産期における暴力被害スクリーニングとトラウマケア提供の準備:1)母子と家族を対象とした出前講座あるいは子育て・育児ワークショップにより、産婦人科クリニックや総合病院のバースセンターとの連携体制を整える。2)暴力スクリーニングは、ワンストップ導入後のプロトコルに組み入れる。 3)子育てワークショップは、今後、親や子どもと関わる専門職を対象にCARE講座(コミュニケーションに焦点をあてた心理教育的介入プログラム)を実施する予定である。4)トラウマケアについては、PCITを研究の一貫として実施する(スーパービジョンを含む)。
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